実演鑑賞
桐朋学生の舞台を観るのは3度目。前回観た「RENT」と比較してしまうが、楽曲・脚本が持つポテンシャルに左右されるのは否めない。桐朋学園だけに福田善之作品には(指導者にとって)思い入れのあるものなのだろう、と思いながら観ていた。1945年の日本の4姉妹と母(夫は出征か戦死か..)の場面と、その次女が心酔して翻訳を試みている「若草物語」の物語世界(劇中劇)の関係性が、今一つ整理されて見えなかった所、後半を占める劇中劇の方のクライマックスを終えて終局に日本に戻り、その日が1945年8月6日と聞くに及び別の物語性が起動する。そして「その時」が訪れるのである。ここで漸くテーマ性から選んだ演目であったと判る。
学生たちはミュージカル専攻のせいか、あるいは演出の問題か、「演技」面で生白さが目立ち、年齢を違えた役柄とのギャップが厳しかったりする。が、後半それなりに見えてくるのが不思議である。