実演鑑賞
満足度★★★★
面白い、お薦め。
意味合いは異なるが、「子供叱るな来た道だもの年寄り笑うな行く道だもの」…そんなことを考え始める世代には、滋味深い内容に思えるのでは。
多くの人が〈いずれ〉経験するであろう老親との関係、どう寄り添い面倒を見るのか。その日常の光景を子の視点から捉えた珠玉作。全編 方言で紡がれるが、そこにも人それぞれの生きてきた土地<場所>を表しており、そこに物語の背景<終の棲家の在りよう>が透けて見えてくる。
日常の淡々とした光景だが、飽きることはない。むしろ有り触れた登場人物ー夫婦・親子・姉妹といった近しい人間の微妙な関係、それを実にリアルに描いており共感する。老親と娘の会話では、そのテンポの違いから微妙な間<ま>、ズレ、勘違いなど言葉が持つ又は意味する面白さが感覚的に伝わる。
演技、その設定年齢による身体性の違いー老親と娘夫婦のリアルな動きも丁寧に演出する。同時に場所・時間といった目に見えない空間等も巧く観せる。それによって更に世代間の違いを分からせる。
(上演時間1時間50分 途中休憩なし)