入管収容所 公演情報 TRASHMASTERS「入管収容所」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2023/02/20 (月)

    すみだパークシアター倉にて劇団トラッシュマスターズ『入管収容所』を観劇。
    2021年に名古屋出入国在留管理局で起きたスリランカ人の死亡事件をテーマとした作品。これが日本なのか、、日本でこのようなことが起きているとは、、。これは深い。。とてつもなく見応えのある社会派演劇に強い衝撃を受けました。
    劇団トラッシュマスターズさんは以前から気になっていたものの、なかなか上手くタイミングが合わず今回が初観劇だったのですが、社会問題を扱う劇団だけあり、その内容はとても深く、非常に学びの多い作品であったように感じました。"観劇"というより、社会・道徳を"受講"したような感覚。実話を基にした作品は過去にも色々と拝見しているのですが、教科書や文献を見て学ぶよりも遥かに凝縮されていて、学ぶことが多いような気がするのです。当然フィクションの部分もあると思うので、全てを鵜呑みにすることは出来ませんが。
    ただ、今回の作品も、ステージ上で展開されるワンシーンワンシーン、ひとつひとつの会話に全く無駄がなく、終始何かを訴え掛けてくるような、観る者の心に強く突き刺さるような特別な感覚に陥ったのは事実であり、濃厚な2時間40分であったことには間違いありません。
    「入管は送還忌避者を本国に送還するのが仕事」。そう言われればそうなのかと思ってしまいそうですが、この作品を観ると決してそうではないと感じます。様々な事情から、本国に「帰りたい」けど「帰れない」人々がいるのは事実であり、そのような背景を一切考えず、送還ありきで進んでいる実態、人権を無視し、人をモノとしてしか扱っていない実態には憤りを感じずにはいられません。また、現場に近い組織の末端の人間の主張は尊重されず、上に立つ者、権力のある者の意見が正当化される体質。日本は本当に良い国なのか、平和な国なのか、世界に誇れる国なのか。もはや疑問しかありません。現代社会が抱える問題は根が深いです。今作で扱った入管問題は勿論、様々な事案に対してもっともっと議論されるべきと思います。自分自身で何が出来るのか、改めて生き方を見つめ直してみようとも思えるくらいの衝撃を受けた今回の劇団トラッシュマスターズさんの作品でした。入管施設内でスリランカ人が亡くなった時、「入管側の人間にも涙を流している人がいました」という事実があるだけ、まだ救いがあるかと感じました。これは多くの人が観るべき作品。そして考えるべき問題。休憩なしの作品としては長丁場ですが、それを全く感じさせない程のグイグイと惹き付ける展開、テンポの良さ、内容の充実度、秀逸な脚本、キャストの熱量、魂の入った演技に感動です。

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    2023/02/23 23:50

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