とりあえず寝る女 公演情報 箱庭円舞曲「とりあえず寝る女」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    気になったことがあって・・・
    初めて観る劇団でしたが、なかなかよくできた面白い芝居でした。上演時間は2時間以内に収められたのではと思います。2時間15分は少し長すぎたかと。初日の終演時刻は10時10分前でしたから。
    庭の雪に始まり、桜で終わる。季節感があり、舞台美術も凝っていたが、建物考証上は疑問点があるのでネタバレにて。

    ネタバレBOX

    団地の親睦会長の小林タクシーが面白い。山本晋也監督を若くしたみたいな感じで、そう言えば、山本晋也監督はにっかつロマンポルノの「団地妻シリーズ」で有名になった人(笑)。
    ふだんから仲の良い、村上直子、片桐はづきの姉妹役対決も見ごたえがあった。
    赤澤ムックの千代海が仲裁に入っていき、声だけでやりとりが聞こえてくる場面も面白く、表舞台では別の会話が進行していたので、集中して聞けず、ちょっと残念なほど(笑)。

    気になった点が3つ。
    ①「団地」という設定だが、舞台美術は2階があるし、一戸建てに見えてしまい、違和感があった。出演者に確認したら「ふつうの団地の1階でメゾネットタイプの設定」だと言う。
    私はかつて団地の間取りの変遷について公団に取材した経験があり、最近の建て替え団地も実際に見てきたが、メゾネットタイプや、久慈夫妻のように団地の1階をギャラリーや店舗に使ったり、戸建てタイプの分譲団地が出現したのは90年代になってからで、比較的新しい話です。
    団地の建て替え再開発というのは90年代後半から盛んになったが、昭和40年代ごろに建てられて老朽化した団地が主で、10年程度での団地建て替えは考えられません。また、区の区画整理に関連するような話になっているが、団地の取り壊しは公団の領分で、民間のアパートとは違い、区が区画整理事業の一部として個別に交渉介入するのは筋が違うと思います。また、メゾネットというのは構造上、上階に影響が出ない最上階の部屋であるか、一戸建て方式の新型分譲団地の建物であると考えるのが普通です。これが古い団地であると仮定すると、その点が不自然に感じます。以上の点から、今回の家の構造は納得できなかった。
    ②玉置玲央の職業が、台詞上では、一流企業に勤めて3年、プロジェクトのリーダーをやっていることになっているが、それであんな真っ赤な金髪なのはいかがなものか。最初はフリーターの役かと思っていました。たとえ、アート関係の企業でも、一流企業であればなおさらのこと、社員は外部の人間とも会う機会があるし、金髪は認められないと思う。金髪であるのが、物語上の必然性でなければ、俳優はスプレーでも黒髪にするべきではないでしょうか。宝塚歌劇団でも、芝居上、金髪をスプレーで黒く変えて出ている生徒はいるのだから、不可能ではないはず。
    ③村上直子の喪服の着付けがひどい。半襟の後ろが4センチもはみ出ており、舞台上で赤澤ムックが帯を直してやる場面があるにもかかわらず、フォーマルの帯のお太鼓が低く膨らみすぎ、たれをあんなに長くたらす着付けはありえない。あれじゃまるで廓のやり手婆の帯です。粋筋の女でもあんなふうに帯は結ばないので、赤澤による帯の着付け方にも疑問を感じた。とても表に出かけられる着付けではありません。
    姉娘が和服を着慣れていないという設定にしても、あれはひどすぎます。

    面白くするだけでなく、こういう細かい点にも気を配っていただきたいと思います。今回のようなリアリティーに欠ける点があると、気になってしかたありませんでした。

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    2010/04/05 21:58

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  • nama様

    拙文にご親切なコメントをいただき、ありがとうございました。
    私は格別、作品のアラ探しするとか、意地悪な見方をするつもりはないのですが、演劇は総合芸術ですし、脚本と役者さえよければいいというものではないと考えています。
    劇としては優れた内容だっただけに、違和感のほうがどんどん膨らんでいってしまい、正直、高得点をつける気になれませんでした。
    ましてや、「家」への思い入れが描かれた作品で、凝った舞台美術だっただけに、観る者を混乱させるような「団地に見えない家」は、根幹的な欠陥に思えました。
    町内会の結びつきを描けば、一戸建ての家、または老朽化したアパートやマンションという設定でもよかったのでは、と思うのですが。だったら、区画整理で立ち退き、取り壊しになる実例もありますから。
    学生演劇ではないので、社会的なことはきちんと調べて書いてほしいと思います。
    着付けについては、以前、別の劇団で、帯のお太鼓のたれがまったく見えないという奇妙なものがあって、そこは時代劇だったので、何とか昔風に見せたくて、わざとそうしたのかと私は解釈して黙ってました。すると、年配のお客さんが終演後、「たれが出てない。まちがってるわよ」と注意したのです。実は意識してそうしたのではなく、出演者が帯の結び方を知らなかったためらしく、「教えていただいてありがとうございました。着付けのこと、全然わからないもんで助かります」と女優さんがお礼を言っていて、別の日に見たら、着付けが直っていました。注意してよいものかどうか、難しいところですね。
    しかし、本作は時代劇ではなく、フォーマルの喪服の帯のお太鼓のたれが20センチくらい出ていたので、これは完全におかしな着付けだと思って書かせていただきました。
    演劇関係者のかたからご意見をいただき、大変嬉しく思いました。ありがとうございました。

    2010/04/07 16:48

    いつも興味深く感想拝読させていただいています。本作品は、私は拝見出来なかったのですが
    たしかに、細かいディティールへの違和感で、面白い作品でも「観ている側」の気分が削がれる事はありますね。
    メゾネットは、確かに比較的新しい建物の印象があります。
    私も同じような感想をいだいてしまうかも…。
    そして着付け…。私は趣味程度で、独学での着付けですがキモノは好きでよく着ています。
    確かに小劇場で着物を使用する舞台も多く、内容以上に着付けをしっかり観てしまう節があります。演出を超えた不自然な着付けだと、作品にも影響してしまいますよね…。

    2010/04/07 10:39

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