止まらずの国 公演情報 ガレキの太鼓「止まらずの国」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    気分はもうバックパッカー
    根性ひねくれた人間が物事をいくら斜に構えてみていても「経験」という力の前ではおとなしく正座して耳を傾けるべきなのだと思う。それが最も優勢であるとは言いがたいが、特別な強さがあることは確か。
    この公演は明らかに、1年間実際に地球一周したという経験の強さが物語の根幹をがっちりと支えて魅力を生み出している。
    若者なら一度は憧れるのではなかろうか、異国を渡り歩くバックパッカー。彼らが集うゲストハウスという舞台設定でほぼリアルタイムで時間が進行する、まさにバックパッカー疑似体験。前半彼らの旅生活と異文化交流に慣れた会話、何気なく薫る現地の空気に心躍る。
    しかし後半にかけての混乱の中では一転、アイデンティティや社会といった「旅行」の陰に隠れていた空白部分がじんわり浮き彫りとなり、ストレートなメッセージがずるっと引きずり出されドキリとする。
    特別な構造も奇をてらった演出もない、ストレートすぎるほどストレートな芝居。それでこれまたストレートなメッセージを構えずにがっちりと受け取ることができたのは、やはり道程に経験を背にした確固たるリアリティがあったからこそ。
    旅行初心者から熟練者まで、役者もしっかり過ごした時間分の旅行者の顔をしていていい演技をしていた。個人的に演出でお見事と思ったのはラスト近くの「明るい音楽」の聞かせ方。

    この作品は色んな人に観てもらいたいが、ライフスタイル情報誌のような、ステキ外国滞在記邦画が好きとかいう人に特に観てもらいたいなーと思う自分はやはり根性がひねくれているのか。

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    2010/03/27 02:52

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