月並みなはなし[2010] 公演情報 時間堂「月並みなはなし[2010]」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    月並みな芝居?
    これも、静かな演劇の範疇でしょうか?
    観劇が人生の喜びの重要素になっている私には、演劇というのは、どんな形にせよ、感情を揺さぶってくれるインパクトが必須条件なので、その意味で、この芝居は、私の気持ちをほとんど揺さぶるところがなくて、期待度が高かった分、ちょっと残念でした。
    役者さん達、皆さん、好演されているし、脚本や演出も、決して、レベルが低いとは思いません。でも、始まりから終わりまで、ずっと同じテンポで、ストーリーに起伏もなく、進んで行くので、時折睡魔に襲われました。
    丁寧に作られたお芝居で、この作品が大好きと思う方がたくさんいらっしゃるのも、納得できますが、ただ、私としては、この芝居に、3300円は高過ぎました。、3300円を投資してこの芝居を観る人間に、脚本と演出と演技者の力で、この登場人物達が本当に月に是が非でも行きたいのだという思いを信じさせてほしかったというのが、一番感じたことでした。解説や、粗筋でではなく、目の前の舞台上で、そのことを信じさせてもらえていたら、もっとこの芝居に好感が持てた気がするのです。月に行くという設定に難があるのではなく、客に掛けるマジック力が足りない気がしました。                 役者さんでは、キリン役の高島玲さん、ススム役の園田裕樹さんが、特に印象に残りました。このお二人のご出演舞台には、また行ってみたい気がします。

    ネタバレBOX

    私は観ていませんが、以前テレビで放送していたという「サバイバルゲーム」的内容で、また「コーラス・ライン」も思い出しましたが、「コーラス・ライン」程の、ドラマチックな人生が各人にあるわけではなく、月に行きたいという各人の思いが希薄な感じで、たたでさえ、月に行くなどと、感情移入しにくいストーリーに、より、別に、誰が選ばれようが、私には無関係感が増幅され、何だか、舞台の中の世界感に全く浸れませんでした。設定が近未来だという解説ですが、少なくても、舞台から受けた印象では、とても近未来感は感じられず、今の郊外レストランとしか観受けられませんでした。

    だいたい、あんなにしょっちゅうタバコを吸わずにいられない人間は、もっと早くに皆に落とされるのではないでしょうか?
    それに、ラストのコウドウとモリの無言シーンの長いこと!アフタートークでの、黒澤さんのお話によれば、あのシーンは殊更演出を付けず、お二人に演技を任せたのだとか。だったら、あんなに長い必要性を感じませんでした。無言でも、二人の思いがきちんと表出されているなら構いませんが、あれでは、一体いつ終わってくれるの?とさえ思う程で、ちょっと冗長過ぎて、せっかくの終幕シーンが、逆効果だった気がします。最後に地球に残ることになる二人は、私の観る限り、一番役を生きてない感じのするお二人でした。まず二人が恋人同士には全然見えません。かなりの名優でも、無言劇で、思いを客席に届けられる力量のある役者はそうはいないと思います。それなのに、この大切なシーンを役者任せにできるなんて、この演出家の腹のうちが私には理解できませんでした。
    このお芝居、確かに、佳品と言える味わいはあると思うのです。次にこの芝居を観るなら、黒澤さんご自身の演出ではない、他の演出家による上演で、観てみたいと思いました。

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    2010/03/13 20:28

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