禁猟区 公演情報 柿喰う客「禁猟区」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2022/12/24 (土) 14:00

    衝撃的な事件とスリリングな展開、例によって降り注ぐシャワーのような台詞。柿のエネルギーがビシビシ伝わって来る舞台。出演者の人数も多いがキャラの立った登場人物たちが解りやすく謎解きに奥行きを持たせる。時々台詞が聞きとれないのは私の感度の問題だろうか?

    ネタバレBOX

    明転するといきなり21人が舞台上にいる。
    照明のダイナミックさもあって、裸舞台にこの迫力がまず素敵。

    1年前にこの「ちぎり商店街」で、父を惨殺した犯人を捜すため
    この商店街に店を出そうとする娘。
    それを阻止しようとする商店街の面々が端から怪しい。
    誰が犯人で、どうしてみんなそれを隠そうとするのか、
    ちぎり神社という神社さえ、何だか怪し気だ。

    娘はついに店を出すことに成功するが、その結果
    明らかになった真実はあまりにも残酷なものだった・・・。

    当日パンフとしてキャスト一覧が添えられていたが、
    登場人物の職業と名前がウイットに富んでいて楽しい。
    私の好きなカクテルバーの店長は「銅底 智羅永」(どうぞこちらへ)
    という名前だったが、こんな感じで21人が紹介されている。

    アフタートークで中屋敷氏が言うには
    当て書きのように「この人にはこんな店をやらせたらいいな」と
    考えて作ったという。
    そんな遊び心が柿の豊かなキャラクターとチームワークを感じさせる。

    冒頭から大勢で唱和する台詞は、“歌のようなもの”と考えれば
    歌詞が全部正確に聞き取れなくてもまあいいかと聞き流せるだろう。
    それはそれで心地よさもあるかもしれない。

    だがやはりここは台詞として、作者の書いた台詞を
    一粒たりともこぼしたくないと思う。
    だからもったいなくて拾い集めたくて、「ん?ん?」と
    後追いしているうちについていけなくなる・・・。

    間違いなく私は「柿の表現」が大好きだ。
    まず設定、タフな役者陣、キャラの作り込みや謎解きのスリル、
    ストーリー展開にグロい描写、どれも面白くて前のめりになる。
    だからまたきっとその舞台を観に行くだろう。
    役者さんはみな、その努力も力量も素晴らしくて「すごいな」と感嘆する。
    でも情報量に比例して聞き取れない台詞も増えていくとしたら
    あの怒涛の台詞の目指すところは何だろう?
    「表現すること」と「伝えること」の難しさを考えさせる作品だった。


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    2022/12/25 00:20

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