マザー4 公演情報 サヨナラワーク「マザー4」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    面白い。
    同じ場面の繰り返し、それでも少しずつ様子は違って物語は展開していく。しかし、この観せ方に冗長さを感じ飽きてくるかも知れない。描こうとしている設定、それを謎を多くし長く関心を惹かせるためであろうか。全体的に淡々とした展開で 印象が薄くなったように思う。

    登場人物は4人、それぞれ関係があって影響を与えている。理屈でいえば一方通行であるが、そこは舞台としての面白さ。描かれているのは人生、もっと言えば「生きる」という存在を表現している。

    前作はプロジェクションマッピングを積極的に活用していたが、本作では控えめな利用、その効果は消極(消去)的である。その意味で舞台技術はよく考えられている。
    (上演時間1時間20分 途中休憩なし)【星組】

    ネタバレBOX

    素舞台…スクリーンの前で横一列に並んだ女優4人。物語は、登場人物の心象を描き表しており、照明で写し出すシルエットやプロジェクションマッピングでその効果を印象付ける。因みに 微妙に立ち位置を変化(前後)させることによって、シルエットの大きさや髪形の違いを際立たせる。
    この場所はエレベーター内、何回やっても指定階へ行く途中で動かなくなり…。このエレベーターは病院、マンション、ラブホテル、そしてーー。

    物語は時間軸ー年代が違う、家族…母(1985年)、娘(2010年)、孫(2035年)そしてさらに子孫(2101年)という悠久の時を刻む。それぞれの役(役名と芸名は同じ)は、蒼木鞠子さん、遠藤千織さん、彩原双葉さん、舞園れいな さん(Wキャスト・星組)である。冒頭はループするような光景に戸惑う4人、しかし4人の中で、この状況を作り出した人物がおり観察するような。その意図は何か。

    人生には後悔がついてまわる、それをやり直したいと考えたらどうなるか。時間の遡行、タイムパラドックスのような理屈は関係なく、剥き出しの感情 真に生きたい人生とはどんなものかを真摯に考えてみる。どんな人生でも縁繋がりがある、そこに物語の肝があり滋味ある内容が観えてくる。

    「生きる」を考えた時、その証は本人のものであり、関わった人々の記憶にある。人生をリセットした場合、新しい人生(記憶)を歩(刻)み出すが、それまでの記憶がなくなる。何だかそれまでの人生を否定すようで寂しいし耐えられない。その表し難さを、プロジェクションマッピングを用いて、白黒の升目模様をフェードアウトする。斑な消え方、そこに記憶が細切れに薄れていく儚さを感じる。切なさと逞しさが同居したような印象だ。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/12/23 08:15

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