実演鑑賞
満足度★★★★
面白い!
初めて行く会場…奥行きがあり とても雰囲気がある。「アパルトマンシリーズ」と銘打った「どこかの誰かの生活を覗き見るように少人数・小規模で上演するシリーズ」であるが、この公演は単に室内生活を覗き見るだけではなく、奥行という特徴を生かした2人の世界以外の風景をも観せる。
上演前からタイトル「サブマリン」を思わせる揺れる照明、それによって海中にいるような不思議な感覚になる。この感覚は物語が始まって、主人公2人のチグハグな会話によって更に増幅する。
冒頭、日常会話やコミュニケーションが乏しくなって久しい同棲カップル、晋平と遥のかみ合わない話は、見た目は若いが 既に倦怠期の夫婦のようだ。2人は、晋平が深夜に帰宅し 遥が朝早く出掛けるという すれ違いの生活をしている。日の当たらないアパート といっても4階なのだが、何となく閉塞感があるようで息苦しい。そんな生活を打破するために…。
登場人物は、2人以外に遥の妹・茜、大家(の息子)、そして男という5人。男は 駅前にいたホームレスで、遥そして茜にとって「この人、私のお父さん」かも知れない。男は一言も喋らないが、その風貌や雰囲気は圧倒的な存在感を放つ。少しネタバレするが、上演前に上手奥で寝ており、間際にムクッと立ち上がり、物語途中から登場する。彼が寝ていた所には、手作りパン店、パーマといった看板が見える。そこに舞台正面の一室以外の風景(世間)が見える。
(上演時間1時間30分)【青サブマリン】