ろれつー夫婦ノ秘メ事ー 公演情報 マダマダムーン「ろれつー夫婦ノ秘メ事ー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    「秘密」に難あり
    このところ劇場以外のバーやギャラリー、個室などを会場にする公演の観劇が続いている。狭い空間で、間近に俳優の演技を観るのは、観る側にとっても緊張感があるし、新鮮だ。先日のピーチャム・カンパニーの公演を除けば、いずれも会場は狭くても客席はゆったりしていて、快適だった。会場が狭くても、アメニティは主催者側の工夫次第だと思う。今回の公演も、1ドリンク付きの公演で観る環境としては快適だった。
    3回目の結婚記念日を迎えた男の話。ほぼ、泉陽二のひとり芝居だ。
    原枝という男は行きつけのレストランで知り合った早弥子という女性と結婚するが、その前に付き合っていた瑠璃子という女性と連絡がとれなくなったころに早弥子と出会い、交際し始めたのだった。早弥子はバーのママの姪で実は瑠璃子と早弥子は姉妹だったことをあとで知り、原枝は瑠璃子の面影を早弥子に重ねるようになり、事情を知らない早弥子に対して罪の意識を感じるようになっていた。
    一方、早弥子は「女神」というニックネームを持つ華やかな姉に子供のころから嫉妬していて、姉の交際相手にも興味を持ち、姉から恋人を奪ってやりたいと思っていた矢先、デートに出かける途中で姉が事故死してしまった。早弥子は原枝の名前を知っていたが、そ知らぬ顔で近づき、結婚したのだった。終盤に覆面女優Kこと菊池美里が扮する酒屋・三河屋が登場し、夫婦のメッセンジャー役兼観客への謎解き役を務める。女優は妻の役で出てくるのかと思っていたが。菊池美里は飄々として面白い女優だと思ったが、脚本上とってつけたような役に感じた。
    泉が1箇所、電話のくだりでまだ知り合っていないはずの早弥子と瑠璃子の名前を取り違えてしゃべったために、このからくりが早々にわかってしまった。だいたい、「夫婦の秘密」というのはちょっと苦しい設定だと思った。バーのママが友人で妻の叔母なら結婚式にも出席するだろうし、すぐにバレそうなものだ。気の良いママが身内なのだから、言いにくければ間に立ってもらえばよさそうなものだ。それに「秘密」と言っても罪悪感を感じるようなたいしたことには思えないのだが。妹だって別に悪事をしかけて男を奪ったわけではないし、結婚前に告白すればすむ話ではないか。言えないほど気まずく思うならそのままでも別にかまわないのでは。
    韓国ドラマにありそうな設定だが、こういう短編物はストーリーが優れていないとアラが出てしまい、残念だ。「夫婦の秘メ事」というからどんなたいそうなことかと思ったのだが、大ハズレだった。
    泉は達者な俳優なので、話の中で1人何役も演じわけ、それを観ている分には楽しかったが。


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    2010/02/16 20:05

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