青 公演情報 reset-N「」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ヒヤリとした質感
    「眠るために目醒める」を見て、もうこの劇団は見なくてもいいかなと思っていたけど、今回は作風がまた変わったようなので見に行ってみようかと思いました。

    でも、今週は見たいのが沢山ありすぎてあきらめていたのだけど、たまたま見れる事に。
    そして、今のreset-Nの真の実力を見せつけられました・・・。

    黒をベースに作られた飾り気の少ない舞台は、執拗なまでの照明へのこだわりで別空間を作り出す事に成功していました。
    このセンスを感じさせる舞台美術と、オープニングから見せてくれる光と影の芸術的な使い方から一気に異世界を演出して引き込まれました。

    話も作家の内省的な話は前回で終わって、レイシズムに心酔する日本の若者たちとその首謀者たちとのギャップからくる苦悩を、ヒヤリとした冷たい質感で見せてくれました。

    これ程素晴らしい作品を見せてくれるとは。
    ★は4.5で。

    役者陣は、正直なところこれだけのキャストは必要なかったように感じたけど、ノグチを演じた鶴牧万里さんの淡々とした、それでいて情熱を秘めた語り口が心地良かったです。

    ネタバレBOX

    オープニングの女性ふたりが「私は男の所有物」だの何だの言ってるところは正直あまり好きではなかったです。
    そういう考え方がイヤ。

    でも、段々と話はレイシズム吹き荒れる日本列島で、その発端を作り出した男とその理想と現実のギャップへの苦悩へとシフトしてゆく。
    それを取り巻く人々それぞれも苦悩を抱えていて、様々な人が「青」の隠れ家を訪れては首謀者のひとりノグチとの対峙によって抱える問題を浮き上がらせてゆく。

    あくまで冷たい質感で演出された裏に、熱い情熱と信念が隠れていて、緊張感を最大限に引き出していた。
    ミサカを演じた藤堂海さんは、登場時間は短いけど存在感が魅力的でした。

    最後の刺客が突然現れてその場にいた人間を片っ端から簡単に殺してしまう終わり方は「やっぱりそうなんだ」とある程度読めてしまったけど、それまでの冷たい質感の中に銃の轟音がつんざく辺りが衝撃的で、演出のうまさだなあと思いました。

    最初は期待はしてなかったけど、非常に充実した内容で大満足でした。

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    2010/02/11 00:56

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