満足度★★★
二度と見られないかもしれない芝居。
落語に三題噺というのがある。客席から三つのお題を出してもらって、そのお題を元にひとつの話を作るという企画である。それをもじると、今回の公演は十題噺。十人の役者のわがままな希望を聞いて、見事にひとつの芝居を作ったというところにまず意義がある。
そして、その結果、それぞれが今までの舞台では見せなかったような新鮮な役どころを思い入れたっぷりに演じてくれた。それが何よりの収穫。そして、したたかな演出家の谷賢一は、今回の公演、お遊びのようなふりをしながら、さまざまな実験や仕掛けを用意している。
ここで繰り広げられたことは、役者にとっても谷賢一自身にとってもこれからすごく役立つことだろう。