いつでもどこでも誰とでも 公演情報 演劇ユニット「みそじん」「いつでもどこでも誰とでも」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い、お薦め。
    女優三人による掛け合い漫才ような面白さ。
    一人の男を愛した女性同士が出会うことで生まれる嫉妬や嫌味 そして見栄といった感情を少しは描いているが、いつの間にか意気投合して…。物語の面白さは勿論、三人が劇中で行う芸能・歌謡・ダンスといった出し物が素晴らしい。同時に日々 時間の経過を表す衣装替えの素早さも観どころの1つ。

    この作品は1996年にBeans(丸山優子、福島マリコ、小林美江)にラサール石井氏が書き下ろしたもの。この公演は 舞台設定を当時のままにしているから、その年代を知る人には懐かしいかも。コロナ禍でもないが、陰湿で険悪な状況でありながら明るく開放的な雰囲気、今の閉塞した日本(人)に必要な笑いと元気という 愛嬌ならぬ滋養を振り撒く。ある意味 力作とも言える。
    ちなみに、本公演の演出は初演時 出演の小林美江さんが担当している。
    (上演時間1時間40分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は中央に丸テーブルと椅子2脚、後ろに整理棚やミニコンポが置かれている。気になるのは三か所に布が被せられている。壁には和太鼓を敲いている写真が飾られ、カレンダーは1999年9月。後に10月になることから2か月間の物語のよう。

    明転後、大きな和太鼓が3台。和太鼓教室を主宰している原島弓子(大石ともこサン)の部屋に見知らぬ女から電話、そして突然押しかけてくる。この女・五十嵐五月(赤星まきサン)は、結婚相談所を経営している。あろうことか 彼女は弓子が付き合っている男は自分とも付き合っていると言い出す。そして五月は松野加代(根本こずえサン)と連絡を取り合い、彼女も間もなくやってくる。初対面の女三人、一人の男(金田竜生<登場しない>)を巡って壮絶な場面が…というシーンは ほとんどなく早い段階から意気投合する。それが男を殺すこと。その名も「金田竜生殺人計画」(加代 作)である。まず彼の部屋に忍び込み日記を盗み、そこに書かれている事が…。何となく女心を刺激するようで、見栄や皮肉が透けて観えてくる。

    怖いのは、加代が話す嫌がらせの数々ー竜生の家に無言電話をかける、勝手にデリバ注文をする、玄関チャイムのピンポンダッシュなど、実に楽しそうに話す。そして勤めている映画配給会社に絡めて映画のタイトルや台詞を言うが、時代を反映して懐かしかった。五月は大金を貸しており、その金で弓子と竜生が海外旅行へ行ったりと、登場しない一人の男を上手く立ち上げ、翻弄されている滑稽さを巧みに描き出す。

    暗転後、大太鼓3台が横に並んでいる。三人が力強く敲くが、見事な演奏になっている。さらにカラオケコンポで歌うが、そこは協調性がなく三者三様で好きな歌を選曲し同時に歌う。それが何と所々調和して面白可笑しく聞かせる、そのテクニックが凄い。そして歌に合わせたダンス、コミカルな振り付けの中に拳を作りガッツポーズをするような…なんとも元気が出るような観(魅)せ方だ。

    親しくなった三人の女性は、弓子の太鼓教室へ入会し頻繁に集まる。しかし、近々 弓子が引っ越しを考えている。荷造りし部屋が整理された光景に、少し寂しい女心を見るような。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/11/25 21:45

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