三月の5日間 公演情報 オーストラ・マコンドー「三月の5日間」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    空間の重さ
    戯曲の骨格については
    やや危うくはなっていたのですが、
    一方で、戯曲が描いた場所の今を感じさせる
    表現の力を感じました

    ネタバレBOX

    正直なところ、
    戯曲が表現する世界観とは
    かなり違った印象の作品ではありました。

    しかし、その時間を切り取り
    表現する力にはぞくっと来た。

    映像で渋谷という街を浮かび上がらせる手法自体は
    多少力技という感じもするのですが、
    そこに生まれる時間は
    重ねられていくエピソードの断片に
    リアリティを与えていくのです。
    それらは、当然に戯曲から導き出されている部分が多いのですが、
    舞台上から浮かんでくるのは
    戯曲に描かれたような
    時間の軽さではなく、
    むしろその風景に内包された時間の重さに思える。

    偶然コンサート会場で知り合った男女に流れる時間、
    映画のチケットを売ってくれた男性に高揚した女性の想い、
    3人の男たちの、奇妙にデリケートな距離感と、
    そこから醸成されるもの・・・。

    描かれた色が
    揮発することなく舞台に残る。
    あるエピソードが演じられるとき
    同じ空間に平行する想いの存在が描かれるのです。
    想いが混ざり合って、
    渋谷という街の空気として
    観る者を包み込んでいくのです。

    観終わっても、
    ちょっと息苦しいほどの質量が
    居すわり続けたままで・・・。

    演じられたものが
    「三月の5日間」であったかというと
    違和感は確実にあるのですが
    一方で、その違和感にこそ
    この舞台の力を感じたりもするのです。

    役者なども含めて、
    作り手の空間の重さを描き切る力を深く感じる舞台でありました。

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    2010/01/17 08:15

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