黒いインクの輝き 公演情報 ブルドッキングヘッドロック「黒いインクの輝き」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    吹雪の中に立ちすくむ孤独
    当たり前と言えば、当たり前なのかもしれないが、台詞のすべてに意味があるように思えた。
    だから、一言も聞き逃さないようにしたかった。

    火花散るように思える台詞とそのやり取りが心地よく、約2時間があっと言う間だった。

    やばり好きだ、ブルドッキングヘッドロック!

    ネタバレBOX

    女性だけの職場に、ちょっとした亀裂が生じる。
    それは、先生がどこにもいないということと、外の吹雪だ。
    吹雪の一夜の物語に、先生や職場で起こった昔の記憶が重なっていく。

    先生がいなくなって、まるで呼び寄せたように先生に関係した人が集まってくる。外は吹雪だというのに。
    先生はどの部屋にもいない。
    外は吹雪だというのに。

    だけど、ほとんどの登場人物は、先生がいなくなったということをあまり深刻に考えていない。先生がいないから仕事の打ち合わせができない、という程度のことだけが問題となる。
    そのことより、外の雪のほうが気になるし、雪がテンションを上げてくれる。

    テンションが上がったときに、ちよっとしたほころびが生まれ、ホンネが顔を出す。
    それは、相手との仕事だけでのコミュニケーションの中に勝手に想像を巡らせて、読み取ったりしたもので、積年の想いになっているが、思い込みが大半だったりする。そして、先生との関係、先生への想いも噴出する。

    その中でうっすらと浮かび上がるのは、先生の孤独。
    若い男では埋められない孤独であり、マンガが描けない自分という存在の孤独。
    実は、アシスタント全員も同じような孤独を抱えているのかもしれない。
    それは、娘がアシスタントになってしまった母親にもある。
    孤独というか、乾きが。

    女性の職場ならではの感覚なのだろうか。
    そこが適当に仕事をやってお給料もらって、という職場ではなく、いつか自分も力をつけて漫画家として独立してやろうという、上昇志向のある人たちがせめぎ合う場であるからかもしれない。

    漫画家の仕事場には、吹雪の夜に孤立した家のような寒々とした孤独が横たわる。
    ときどき吹雪のような感情が突出することもある。

    誰かの夢という台詞があったが、それは孤独な先生の悪夢なのかもしれないし、孤独な女性たちの悪夢かもしれない。

    朝になっても先生は戻ってこない。
    さて、救いはあるのだろうか。

    各キャラクターがくっきりしている。
    わかりやすすぎるほど、くっきりしている。
    だから、観ている側の理解も早い。

    男たちは、間抜けだ。
    つくづくそう思った。

    時間の移動が頻繁にあり、それが少々かったるい感じがしてしまった。
    でも、面白かったので、許す・・・って、私は何様だ(笑)。

    ちなみに、ピカソやゴッホがバトルをする先生のマンガは、そんなには読みたくないと思った(笑)。

    そういえば、ドラえもんは、ああいう状況なのに連載がずっと続いているなあと思ったり。

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    2010/01/15 06:26

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