満足度★★★
新ジャンルへの挑戦には好感
台風による土砂降りの雨の中、放送局の経理課勤務の夫が帰宅すると暗い家の中で呆然としていた妻が「人を轢き殺した」と言い、一方、河川敷ではホームレスの老人と発達障害の少女がブルーシートハウスに戻らず…という状況から始まる物語。
前回が4Bの鉛筆を使ってフリーハンドで「描いた」のに対して今回はロットリングと定規で「製図した」ような印象。
それはそれで構わないのだが、第1場のショッキングな妻の告白に続く第2場で登場するTVクルーがコミカルすぎてその落差の大さから「ここ、笑うトコ?」と戸惑ってしまうし、さらにそのクルーの取材に一介の経理マンが同行するのは強引で無理があるのが残念…ということで出鼻をくじかれた感じ?
また、群像劇でありながら「少女を殺した犯人は誰か?」という部分に気を取られてしまい(←σ(^-^) だけかもしれんが)、犯人逮捕の後で主題が提示される頃には観疲れてしまっている(全体で125分あるし)というのも惜しい。
どうせならTVクルーをところどころでコメディリリーフ的に使うとかして息抜きをしておけばイイのに…。
前回は4日程度で書けたのが今回は2ヶ月もかかったというハナシを終演後に伺って「さもありなん」な感もアリ。が、新ジャンルへの挑戦ということには好感。
一方、基本的には同じながら様々な場として見せることのできる装置は前回に引き続き見事。
開演前に見た時は「なるほど川べりのハナシなのね」と思ったが、冒頭から予想外の使い方をするし、手前にあるパーツがサンダーバードの秘密基地みたい(喩えが古いねどーも)だし……それにしても蝶番とローラーを使うのが好きねぇ。(笑)