実演鑑賞
ほぼ六十年前の地方の部落差別に発する警察、裁判所の告発ドラマである。ちょうど私が社会に出て頃の話で、たまたまこういう問題の多い地域でも働いたから、東京では伺えないこういう無茶苦茶と言うしかない差別は確かにあった。人々も容認して暮らしていた。今はこういうことはない前提で皆暮らしているが、部落差別はなくなっても、このドラマが描いている一種独特の日本の風習は弱い者いじめの風習はなかなか変わらない。例えば、劇場のアンコール。ジャニーズの人気者が出て居ようものなら、7回くらいのアンコールには付き合わざるを得ない。規制退場で出るに出られない。物事が違うというだろうが、実は同じである。そこを描かなければ、この分かりやすいドラマも、一夜のアジテーションの終わってしまう恐れがある。