札幌舞踊会定期公演「ジゼル」
舞踊会のクリスマス公演は、私が知っている範囲では毎年「くるみ割り人形」「コッペリア」といった楽しい演目だったのですが、今年は「ジゼル」、悲劇です。16年ぶりの上演だそうです。
ジゼルは「くるみ割り」で金平糖を踊られていた林香織さん、アルブレヒトはオランダ国立バレエ団のタマス・ナージィさんでした。
ゲスト出演の男性ダンサーさんのブログで、「舞踊会のジゼルは解釈が分かりやすい」と読んでいましたが、演出・振付もオーソドックスで丁寧に表現されているし、19列くらいからだと照明の効果も分かりやすさに貢献していると思いました。
林さんのジゼルは、繊細な踊りと、1幕の衣装がかなり薄い水色で、影の薄い、はかないかんじがしました。1幕の収穫の季節真っ只中の村の風景と、2幕の精霊の世界とは対比されているのですが、今回のジゼルは生の世界の中にあってもすでに異世界に通じているような雰囲気が漂っていました。
舞踊会の舞台は、バレエの魔法、が感じられるところが好きです。
今まで2回観た「くるみ割り人形」ではドロッセルマイヤーが本当に魔法を使っているように見えました。
今回は、ウィリーのコールドが、すばらしかった。
2幕のウィリーの踊りは、ぴたりと機械的なまでにそろえることで、美しさだけではなくて、ウィリーという人格や感情がない「残る思い」だけの存在である(というのは私の解釈ですが)精霊を表現するものだと思うんですね。しばらくぶりにゾクッときました。
個人的に、ヒラリオンというキャラクターが好きなのですが、今回はかなり「いい人」なヒラリオンでした。
ヒラリオンが死んでしまったところで拍手が出たのは・・・「ここで拍手して果たしていいんだろーか」「これはお疲れ様!という意味の拍手だろーか」と悩んでしまいましたが(^^;
来年12月2日「坂本登喜彦の世界」。楽しみです。