満足度★★★★
いいじゃないですか!クドカン歌舞伎
あまりの酷評に怖いもの観たさで行った昼の部。
絶対楽しい筈の勘太郎君の三番ソウは遅刻して全く見逃し、残念無念。
野崎村は、いつも舟を漕ぐことが多い演目だけれど、今回は最初は楽しく、後半はジンとして、良い人情芝居でした。私の観た野崎村では、一番の好配役。福助さんのお光が、可愛く、切なく、絶品でした。
身替座禅も、今考えられる、最高の組み合わせ。日本のシチュエーション・コメディのお手本のような好舞台で、終始笑って堪能しました。
そして、問題の、クドカンさんの新作歌舞伎。
私的には、なかなか好感触の舞台でした。
もっと、下らないのかと思っていたら、さにあらず。
なかなか哲学的だし、落語ネタもうまく取り入れ、それでいて、クドカンさんのオリジナリテイもあって、勘三郎さんの初舞台の頃から歌舞伎通いしている私でも、全然不満は感じなかったけれど…。
最後は歌舞伎ならではのカタルシスも感じたんだけど。
子供も大笑いしていたし、次世代に歌舞伎を馴染ませる功績はあった気がします。
ただ、もう少し短くまとめた方がよかったし、3階席では皆満足げだったものの、16000円払ったお客さんが満足できる演目かと聞かれたら、答えはNOかも。
それに、本を依頼した勘三郎さんの役が立っていないので、中村屋のご贔屓には、きっと不満多いでしょうね。
だけど、私としては、改めて、クドカンさんの引き出しの多さに感服したし、三谷さん、野田さん、蜷川さん、夢枕莫さん等の書かれたものより、好みの作品でした。一番、歌舞伎の有り様を心得た脚本に思えましたから。
とにかく、染五郎・七之助のコンビがとてもよかった!これから、度々観たい組み合わせです。かつての、孝玉コンビのように、観ていてワクワクしました。