木と林と森
公演を見たあとでチラシを改めて眺めていたら、今回のタイトルが「配置と森」ではないことに気づいた。ふつう「森」という漢字には「木」が3つ入っているが、実は今回のタイトルでは、「森」の部分が6つの「木」からなっている。
去年の初演も見た。会場でもらったプログラムに載っている作者の挨拶文を読むと、今回は初演とだいぶちがっているらしい。しかし前回の内容をかなり忘れているところへもってきてさらに内容を改訂されたら、初演との比較などできるはずがないし、かといって新作として眺めるには妙な既視感もつきまとう。そんなわけで、作品の接し方にちょっととまどいを覚える今回の上演だった。
会場がSTスポットからsuper deluxeに変わったというのもかなり大きい。前者では舞台の三方に壁があったが、後者では三方を客席が囲んでいる。
20センチくらいの立方体のオブジェか何個か、小道具として使われるのは初演と同じ。たぶんタイトルにある「配置」というのはこのオブジェのことで、「森」というのがダンサーを指しているのだろう。
STスポットでやったときには三方に壁があるせいで、舞台自体も立方体の空間という感じがして、「CUBE」という映画なんかを連想した。しかし今回のsuper deluxeはオープンなスペースなので、そういう密室感は消えていた。
冒頭の首回しの場面は初演にもあった。最初、一人だったのが暗転のあと二人になる。まるで人間が二つに分裂したような印象を与えるあの場面が面白い。そのあとの展開は記憶があいまいになるが、初演よりもコンタクトが増えていたような気がする。二人の関係に何らかの取り決めがあって、その範囲内で自由に動いているという印象なのだが、こればかりは実際に稽古場をのぞいてみないとよくわからない。今回の再演も、最後まで飽きることなく眺めることはできたのだが、動きそのものというよりも、動きの作り方が妙に気になる作品だった。