仮名手本吉原恋心中 公演情報 ネコダマシ「仮名手本吉原恋心中」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    「『ロミオ&ジュリエット』『曾根崎心中』にヒントを得た殺陣・歌・踊り・三味線演奏ありのドラマティック時代劇」という謳い文句…なるほどなぁ。元禄時代という設定だから「曽根崎心中」なんだろうが、どちらかと言えば「箕輪心中」の方がしっくりくる。タイトルの「仮名手本」は、歌舞伎の演目「仮名手本忠臣蔵」を意識したのかも知れない。ヒントにした作品があっても、本作は紛れもなくオリジナル、歌舞伎の書き抜きのように役者の血肉となり独り歩きし出した。
    さて、所作は良かったが、気になるところもあり少し残念だ。
    (上演時間2時間30分 途中休憩あり)

    ネタバレBOX

    舞台美術は吉原遊郭の紅屋。中央に階段、上った正面に大きな襖があり、白牡丹と赤牡丹、そして蝶が舞っている。牡丹の花が主人公の男女を表しているようだが、その間には黒い川のようなものが描かれており、2人の行く末を暗示しているかのようだ。赤い欄干や半月型の門構・提灯が廓の雰囲気を醸し出す。

    物語は語り部の案内、お題は「恋」だと言う。そして面をつけた妖しげな群舞から始まる。時は江戸時代の元禄11年の大火(勅額火事)、それから5年後の元禄16年正月の三日間に出会った男女が恋に落ち 泡沫の夢を見る。出会った2人は、旗本直参 勘定吟味役の東上家の養子だが跡取りの菊之助(小山蓮司サン)と吉原花魁の付き人(将来の太夫候補)・初花(濵田茉莉奈サン)、武士と水揚げ前とはいえ遊女である。しかし想う心は同じ。結ばれるのが難しいという状況が「ロミオとジュリエット」であり、タイトルにある心中が「曽根崎心中」である。しかし武士と遊女であれば「箕輪心中」を連想してしまう。

    説明にある―浮き世は夢 人生は朝露の如しーなど、2人の逢瀬に歌う場面は抒情的で浮世を感じさせる。2人で約束を交わすが、いろいろな事情によって果たせない。男は夢の中でしか約束を果たせない、女はその夢の中へ行くだけ、という台詞は 古今東西変らない事かも知れない。演出は、物語の始まりと休憩後の始まりが三味線の演奏、一瞬にして江戸情緒へ誘う上手さ。
    ラスト、心中らしい白の死装束に色鮮やかな赤い帯という観(魅)せ方も印象的である。雪が降り、その中で自害しようとする2人の情景が美しくも哀しい。

    気になったのが、勘定吟味役の着流し。そして男優何人かの長髪、特に現代的な側頭刈上げや 前髪が垂れ下がっている姿には違和感を覚える。全体を和装でまとめ 時代ー吉原遊郭の風情を漂わせている中での現代的な風貌は目立つ。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/10/09 11:48

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