エル・スール 公演情報 トム・プロジェクト「エル・スール」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    俳優座劇場にてトム・プロジェクト『エル・スール』を観劇。
    サブタイトルに「~わが心の博多、そして西鉄ライオンズ~」が付いている通り、博多の街に今の福岡ソフトバンクホークスではなく、西鉄ライオンズが本拠を構えていた頃のお話。開演と同時にいきなり野球実況が流れてきて、野球好きの人間からするとワクワクが高ぶる展開。西鉄ライオンズが存在したのは自分が生まれる前の話なので、決して世代ではないものの、舞台の全体的なセットやラジオの野球実況、さらに、伝説として語り継がれている西鉄ナインの名前を読み上げるシーンなどノスタルジックな世界に包み込まれ、自然と「懐かしい」と感じてしまいました。まさにタイムスリップも良いところで、舞台説明文に書かれていた「昭和30年代の九州博多。 ―― 戦後の焼け跡の中から、博多の町が生み出す明るさの中で、庶民は逞しく生きていた」という部分が上手く描かれているなと感じました。
    トム・プロジェクトさんのお芝居は今回のように“昭和”を舞台とした作品が多くある印象ですが、どれも時代考証が緻密で、特に違和感なくその時代にタイムスリップすることが出来るような気がします。この部分が疎かだとせっかくのストーリーが良くても、どこか不自然さが残ってしまうため、トム・プロジェクトさんの作品はまずこの部分が優れていると感じます。
    今回の作品は終戦から10数年の博多が舞台。現地に暮らす人々にとって、いかに西鉄ライオンズ、プロ野球という存在が大きいものだったのか。いかに大切な存在だったのかが分かる内容であると感じました。
    先日拝見した『帰ってきたカラオケマン』の風間杜夫さんのユーモア溢れるお芝居も魅力的でしたが、今回のたかお鷹さんの味のあるお芝居も良かったです。皆さん九州出身の方なのかと感じるくらい、博多弁?での台詞も好演されていました。

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    2022/10/01 22:45

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