満足度★★★★
お芝居は初めてです。
「物語」ではなく「想念」である。とのことわり書きがありました。
それならばということで、ジェスチャーを追い、いろいろ頭で考えて
意味するところは何ぞやと、必死についていこうとしました。けれど
硬いアタマには難題でした。途中で脱落。
挑まれた戦いに背を向け、尻尾を巻いて逃げるかのような敗北感。くやしぃ。。
観客のレベルが求められている気がしました。
豊かな感性と、肥えた目と、知識が必要なのでしょうか・・
ところが
負け犬になった私が座席で身を硬くして小さくなっていると
天から音が降ってきました。女優たちの美しい踊りと混一され、
大きなうねりになって押し寄せてくる。
周りには実際に大きな渦巻きが見えました。
そこに身を任せると、三半規管が麻痺して、心地良くなってくる。
重力やしがらみから解放され、意識が浮遊する。
最後には、太古の祭りに自分も一緒に参加しているような感覚になっていました。
なんて気持ちいぃ~
しかし、気持ちいいだけでは終わらない。
世俗の澱でうわべを糊塗してしまった自分に気づかされる。
尖っても、果ては磨耗してしまうことを思い知っている自分。
けれどもそこに傷つき、疲れても、それでもなお研ぎ続けることができる人達を、その輝きを、私は心底羨ましく思います。どうか、みなさん、頑張って!
なまくらになってしまうと、
一番最後に吉良さんが客席に投げた、小さく白く光るモノの正体に全く気づけず、
それが自分の50センチ横に落ちてくれても、手足はピクリとも反応できず、
跳ね返って落ちた舞台下まで行く勇気も出ず、挙句の果てに
代わりに取りに行ってと頼んだのに、行ってくれないダンナに悪態をつく。
そんな人間になってしまいます。うぅ・・
ああ、それでも
吉良さんと公子さんの生歌にはいつも泣いてしまいます。
まだ僅かでも、自分の中に純な部分が残っていると
思えるのです。