クリスパ♡ 公演情報 劇団娯楽天国「クリスパ♡」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    秀作コメディーでした
    観劇前は結婚式をめぐる独身カップル何組かのコメディーかと想像していたのですが、違いました。クリスマスの銭湯を舞台に巻き起こる結婚騒動で、銭湯のセットが本格的でとにかくよくできていると思ったら、パンフレットの付録を読むと、舞台美術の佐藤大樹さんは建築設計が本職。「想像が膨らむ舞台を作る」ことをモットーに、「外側や内部や奥の部分、さらにいままでその場所で経た時間まで感じさせる」ような舞台を作ろうと努め、時には隙間からしか見えない部分やカーテンに映りこむ影まで作りこむという(職人芸だ)。
    確かに見えない部分の家の構造まで想像できる舞台装置で、銭湯は中のエコーまできかせてくれる。最近はシンプルな舞台面の公演が主流だが、写実的なセットを出すなら、このくらい凝ってほしい。杉村春子のいたころの文学座を思い出した。
    出演陣も手堅く、しっかりしたストーリーでキャラクターがきっちりと描き分けられ、優れたシチュエーションコメディーのお手本のようで、最近はやりの学生演劇調ドタバタとは一線を画す。

    ネタバレBOX

    資金繰りに行き詰まったウェディングプランニング会社の女社長とギャンブルで借金を抱える夫。ヤミ金の取り立て屋は幼馴染の女レイカと組み、出会い系サイトで知り合った金持ち男・高島をカモに2000万円の結婚詐欺をくわだて、夫を悪だくみに引き込む。高島が金持ちというのは嘘で実は既婚者。結婚式準備が進む中、本当のことが言い出せず苦しんでいるという設定。不動産屋が用意した会場が廃業した銭湯「亀の湯」だったため、女社長と夫は銭湯を「セントカメーユ教会」だと言いくるめ、結婚式リハーサルを強引に進めようとする。銭湯に出入りする謎のホームレスや、常連客だったボケ老人、高島の妻がからんでのスッタモンダが繰り広げられるが、終盤はレイカの素顔が明らかになり、本当の結婚式が執り行われ、クリスマスらしい心温まるオチがつく。
    女社長夫婦に必要なのは確かに現金なのだが、サンタのプレゼントが現金というのはなんとも即物的で引っかかった。

    ホームレス男の鷲巣知行が飄々としていてとにかく面白く、銭湯に入ろうと目の前で全裸になったのには仰天。女社長の夫が銭湯の丸窓の十字の木枠を指差して「あそこに十字架があるでしょう?ここは教会なんです」と苦しい言い訳をする場面など思わず吹き出してしまった。
    臨時式場アルバイトに不動産屋が世話した女、岡島(河野美雪)の年齢性別不詳の怪演ぶりも可笑しい。パンフレットのドレスアップしたカラー写真ではきれいなお嬢さんなのにね。
    結婚式本番に飾り付けをするところで、銭湯の木製ロッカーを装飾布で覆わなかったのが気になった。
    外は暑いほどの陽気だったためか空調がやけにきいていて、途中からコートを着るほど寒かったのも、クリスマスらしさの演出の一環?
    客席がアットホームな感じで、ほかの小劇場芝居とはまったく違ったムード。
    開演中もお茶の間でTVを視ているかのように中年女性たちが大声で疑問点を話すなど、面食らうこともあったが。
    駅に近いと油断して出かけたが、最寄駅の改札を出たら、ホールが落合橋の位置から完全に死角になって見えず、近くの商店で訪ねたが、どこもそんなホールは知らないと言う。目と鼻の先なのに迷って入場に遅刻してしまった。フライヤーを入手しなかったが、ネットの地図は平面でわかりにくかった。「線路際の茶色いレンガの建物」とネットにも表記しておいてくれれば見つけやすかったのに。

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    2009/11/28 10:06

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