欲望貴族 公演情報 角角ストロガのフ「欲望貴族」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    荒っぽくリアル
    あまり見やすくとかよく伝わるようにとかいう配慮は感じられないのですが、伝わってくる物の生々しさはすごい。

    清濁まとめてどんどん流れこんできて・・・。

    作り手から溢れてくる感覚に押し流されてしまいました。

    ネタバレBOX

    観る側がけっこう大変で、
    いくつものエピソードが舞台のあちこちから三つ編のように織り合わされてていきます。
    常に視野を広く持っていないと・・・。

    たとえば下手側の物語に集中しているうちに上手側でしらっと別の物語が進んでいたりする・・・。

    でも、それは、時間軸ということからすると超リアル。時間軸がそんなに緻密に作られているわけではないのですが、同じ時間に起こっているという表現としては生々しい。

    で、ずっと見ているうちに、観ている側が注視していないようなもの、なんというかぼんやりと目にしていたものまでがボディブローのように効いてくるのです。

    実は15年目の時効という設定がすごくしたたかで、そのラインを超えるという意識が、キャラクターですらよく見えなかったものを浮かび上がらせる。一旦浮かび上がったその感覚を観る側に押しつける絵の描き方を、作り手側はがっつり熟知していて、物語の整理も荒っぽいままでばんばんとエピソードを重ねていく。これが、観る側を確実に押し込んで行きます。

    終盤に向かって観る側にやってくる水の感覚や油の感覚がどんどん生々しくなっていくのです。

    寺井と青山が舞台の屋台骨をしっかりと背負い切ったことで、他の役者のお芝居が観る側をしっかりと侵食してくる。
    女装や水槽、朝食の天ぷら・・・。それらのものが奇異に思えなくなってくる。
    いろんなものが飛び散る舞台ではありましたが、決して散漫ではなく、それどころか終わってみれば作者の思いががっつりと観る側を生き埋めにしておりました。

    正直いうと、前回公演ほどではないにせよ、なんともいえない嫌悪感がのこる・・・。残るのですが、次の公演があればほぼ間違いなく観に行く。
    なんなのでしょうね・・・。しいて言えば角田ルミだからこそ持ちうる視点に惹かれてしまっているのかもしれません。でも惹かれている自分がちょっぴり恐ろしくも思えてしまうのです。

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    2009/11/28 09:40

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