東京裁判 公演情報 パラドックス定数「東京裁判」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ある意味、美しい舞台
    脚本・役者・演出のどれをとっても、素晴らしいとしか言いようがない。
    緩急の見事さ、舞台から放射される熱量にしびれた。
    ここまでくると「美しい」と思ってしまう。

    もちろん、このサイズの劇場ということも多分にあると思うが。

    ネタバレBOX

    いわゆる東京裁判をわずか95分程度で見せてくれると言う。
    一体何が見せられるのか、あるいは何を見せてくれるのか、と思いつつ劇場に入った。
    東京裁判の核心となるところを見事につかみ出し、われわれに見せてくれた。
    戦勝国が一方的に裁く不公平な裁判ということだけでなく、被告人たちの「責任」や「罪」そのとらえ方の違いなどが、次々とあらわになっていく。

    登場人物たちの、それぞれのバックボーンの持たせ方がうまい。
    そのバックボーンからの発言があるので、いろいろな角度からこの裁判を見ることができるのだ。

    余計な説明がないのもいい。
    さらに、一人芝居のように、弁護人たちの台詞と演技だけが観客に届き、他の検察、判事、被告たちの姿も声も見えず、聞こえないという演出も効いている。
    スピードを上げるところ、じっくり聞かせたいところ、それぞれをきちんとメリハリを持って見せてくれる。
    ヒートアップするところ、呼吸を整えるところでは、観ている側もその呼吸になっていくようだ。

    衣装のスーツは3つボタンや三つ揃えなどで雰囲気を出していたが、どうも眼鏡が気になってしまった。あとは帽子があったりすると雰囲気が出ていたかもしれない。

    若い役者たちのノリに乗っているような、エネルギー溢れる演技が素晴らしい。
    台詞間の間(ま)や、視線、表情、互いの言葉だけでないコミュニケーションのとり方など、細かいところでも見せてくれていた。
    こんなに近いところで見ているのだから、ごまかしなどはきかない、まさに真剣勝負の姿があった。それは確実に心にも届いた。
    これだけ、レベルがある程度揃い、観ていて気持ちいい演技もなかなかないと思う。

    東京裁判を含め、戦前・戦中の歴史的な知識が多少でもあるとより楽しめる(逆にまったくないと楽しめないと思う)。

    チケットもよく見るとなかなか凝っていた。

    急遽時間ができたので、ダメもとで当日券で、と思ってでかけたのだが、観ることができてこれほどよかったと思ったことはない。

    パラドックス定数、これから目が離せなくなった。

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    2009/11/23 04:21

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