定年ゴジラ 公演情報 文学座「定年ゴジラ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    安定した舞台で楽しめた
    重松清氏の小説の舞台化。
    ベテランたちの安定した舞台で、安心して観られる。
    特に加藤武さんの、最後まで衰えない、存在感のある声の張りは見事。

    ネタバレBOX

    定年を迎え、特にすることがない主人公山崎が、地域の自治会のひとたち、つまり、定年の先輩たちに出会う。彼らから、定年後の過ごし方のアドバイスなどを受けたりしながら、自治会の仕事に精を出す。
    自治会の仕事をしながら、自分たちのニュータウンについて再確認し、さらに同じ世代のせつなさ、やるせなさを感じる。
    そんな中、ニュータウンをランク付けするという雑誌の取材を通じて、ニュータウンとともに歴史を刻んできた自分たちの歩みを確認する。
    そんな物語がビートルズの旋律に乗せて、繰り広げられる。

    とにかく、安定した演技と演出で、すっと内容に入ることができ、まったく飽きずに楽しめた。

    小説は読んでいたのだが、実際に動き会話する登場人物たちを観ていると、「ああ、こういう世代の方たちの話だったんだなあ」と改めて思ったり。話す速度とか、テンションとか。
    小説のように泣けるという感じはなかった。悲哀とか切実さを感じなかったためだろう。
    それは、舞台の上の主人公たちが、溌剌としていて、エネルギーがあったからだとも思うのだ。観客は、そういうエネルギーを感じ、希望のようなものを得たのではないだろうか。

    観客には舞台の上と同世代またはそれに近い世代の方がかなり見受けられ、共感のまなざしとともに温かい笑いに包まれていたのが印象的だった。

    ただ、30年前の私鉄沿線にあるニュータウンというと、一戸建てではなく、団地であり、一流企業をリタイヤして、悠々自適で有り余った時間を何に使うのかだけが悩みのタネっていうのは、贅沢だなあと思ったり。
    そのような定年を迎えることのない私にとって、なんかピンとこないというのが、ホンネでもある。

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    2009/11/21 05:09

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  • アキラさん

    ほー、そうだったんですか。レビューと、このコメントのおかげで、ますます、心地よくならせてもらいました。

    でも、観たいと思ったことは正解だったなぁ、と思えて良かったです。
    ありがとうございました。

    2009/11/25 16:57

    tetorapackさん


    コメントありがとうございます。

    ビートルズは暗転のたびに、その舞台の内容を印象づけるような選曲で流れてました。
    意外と暗転が多い舞台で(もちろん効果的に)、曲数は多かったですね。
    私の座席の並びに座っていた団塊世代らしき方は、思わず曲を口ずさんでいましたね。もちろんご本人は、無意識でしょうけど(笑)。

    私は定年がありませんし、一流企業とも縁がないので・・・笑

    >私が観劇してたら、半身を乗り出して、観ちゃったかも。はい、他人事でない切実な問題です(笑)。

    観客の多くは、まさにそういう雰囲気でした。たぶんそういう「仲間」がうらやましいということだと思います。

    舞台の設定であるニュータウンは、ある一定の法則で開発が進んだことで、番地ごとに世代がくっきり分かれており、同じ番地には同世代の人々が、若い番地には、その上の先輩世代が住んでいるということになっています。
    さらに想定した住民の像も明確ですから、収入や家族構成もほぼ一緒の世帯が多いのです。

    いわゆる都心の「限界集落」で、同世代(年配の世代)が集中することはあっても、前後の世代がいるような、そんな街はないでしょう。ですから同世代や前後の世代がいて、さらに生活レベルも家族構成もほぼ同じの仲間がいたら、どんないいいだろう、と思ってしまうのでしょうね。

    2009/11/25 03:16

    アキラさん

     実は、これ、文学座の本公演だし、私も観劇候補に入れていたのですが、都合で今回はついに観ることができませんでした。

     そこへ救世主。アキラさんのレビューを大いに楽しく、また、大いに元気づけられながら、拝見しました。丁寧なレビュー、ありがとうございます。自分が観れなかった公演となると、丁寧なレビューだけが頼りなんです。2、3行のレビューでは、どんなに褒めていても、返ってフラストレーションが高まってしまうのです(笑)。

     でもって、
    >そんな物語がビートルズの旋律に乗せて、繰り広げられる。

     ほー、ビートルズですか。面白いなぁ。

    >小説のように泣けるという感じはなかった。悲哀とか切実さを感じなかったためだろう。
    それは、舞台の上の主人公たちが、溌剌としていて、エネルギーがあったからだとも思うのだ。観客は、そういうエネルギーを感じ、希望のようなものを得たのではないだろうか。

     「エネルギーを感じ、希望のようなものを得たのではないだろうか」。なるほど、なるほど。私もエネルギー感じたかったけど、アキラさんのレビューで溜飲が下がりました。

    >そのような定年を迎えることのない私にとって、なんかピンとこないというのが、ホンネでもある。

     お仕事がら、アキラさんは定年がないのですね(笑)。私はありますです、はい。しかもジワリジワリと迫っておりますです、はい(笑)。
     アキラさんのレビューの冒頭=定年を迎え、特にすることがない主人公山崎が、地域の自治会のひとたち、つまり、定年の先輩たちに出会う。彼らから、定年後の過ごし方のアドバイスなどを受けたりしながら、自治会の仕事に精を出す。
     との下りを読むと、私が観劇してたら、半身を乗り出して、観ちゃったかも。はい、他人事でない切実な問題です(笑)。

     楽しく読ませて頂きました。サンキューです!

    2009/11/24 23:54

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