ジェネラルテープレコーダー 公演情報 あひるなんちゃら「ジェネラルテープレコーダー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    【A面】あいかわらずの、というか、やや強めの、なんちゃらぶり
    前作「サマーゴーサマー」と同様に、困った人が出てきて、それにしかたなく、本当にしかたなく、嫌々ながら、突っ込みまくるといういつもの「なんちゃらスタイル」。

    腰がぐらりと砕けて笑うしかない、という感じもいつもの「なんちゃら節」で、それがぐだぐたとやって来る。

    70分という上演時間もなんちゃら。

    やっぱり好きだ、あひるなんちゃら。

    ネタバレBOX

    山奥の山荘のようなところで、ひたすらカセットテープのテープを引き出し、グニャグニャにしている3人組。
    大学からの友人で、どうやら彼らは明日、初めての犯罪に手を染めるらしい。
    そのためのテープを朝までに(朝というのは6時ということに決まった)作らなくてはならないのだが、特に困ったちゃんのナカヤマがまったく作業に身が入らず、ひたすら脇道に逸れてしまっている。
    紅一点のハヤカワも最初はそれをたしなめる側だったのだが、軽いノイローゼ(台詞より)というか、ひどい妄想が始まり、わけがわからないことを言い張ったりする。
    キシモトは、そんな2人をなんとかこちら側に来させて、作業を続けさせようとするのだが・・・。

    そんなストーリーにどーでもいいような会話が続く。トイレにした石が動くとか、七不思議とはとか、リーダーがだれでルパンは誰なのかとか、イタリアのスパイだとか、コードネームがやもりだとか、的な。

    そもそも、何の犯罪を企てているのかが、具体的に説明されなので、こちらが想像するしかないのだが(テープぐにゃぐにゃにして音が変になる変なテープレコーダーだ、と人を騙すというようなことか)、それが、ずっと引っ張られるだけに、ラストに至っても具体的な説明がないので(まさか台詞聞き漏らした?)、なんかすっきりしない。
    また、ナカヤマみたいな人は、犯罪のグループ、というより、何かのチームワークが必要なときに入れないだろうとも思う。そんな正論的なことを言ってもしょーがないんだけどね。
    犯罪を犯すことに対する心のブレーキとも違う、単なる困った人。

    「犯罪」という見えないゴールに向かっているだけで、しかも途中の会話のアレなんで、不条理臭さえ漂ってくる。
    軽いノイローゼにある人たちが、犯罪という妄想に囚われているようにも見えるし。

    ま、きちんと、ところどころで笑わせてもらったのは確かなのだが。

    というか、いまどきカセットテープっていうのも、なんちゃらだなあ。

    「あひるなんちゃらって知ってる?」みたいな楽屋落ちなんかがあってちょっと新鮮だったりして。

    困った人のレベルが、困った人というレベルをやや超えていて、ゆるく面白いというより、ちょっとむかついてきてしまう。イタイって言っても言い過ぎではない危険レベルに、たぶんいる。
    「いつもよりアナーキーな」という劇団側の説明はここのことなのかもしれない。客演だけのB面があるだけに、ここはひとつ、思い切ったピンボールを投げてきたのかもしれないと思ったりして。

    このむかつき度合いがどのへんで来るのかによって、あなたの「なんちゃら度」が決まるかもしれない。
    早めにむかつく人は、なんちゃら度は低く、この舞台はなんちゃら苦行かもしれない。逆にまったくむかつくことなく、へらへらと笑って観られる人には、素晴らしいなんちゃら舞台になるだろう。
    前作では、まったくむかつかなかった私をして、あまりの困ったちゃんぶりに、ちょっとイラッときてしまった。これはよくないことだ。いや、劇団側ではなく、私のほうが、だ。

    「彼らの話すことは、彼らは本気で思って言っていると、受け取っていいのだろうか?」と何回も考えてしまうような、わけのわからない話が重なり合う。徹夜の際の独特のテンションとも違う変なテンション。

    それは、独特のテンポと会話の応酬と間と、声のトーン。
    この感じ、この感じが、いいんだよなぁ、もうへらへら顔で観ちゃってるんだよなぁ。
    でも、この波に乗れない人は、わずか70分だが、辛いなんちゃら時間を過ごすことになるかもしれない。
    波に乗るコツは、1つだけ、力を抜いてあきらめること、「なんちゃらすること」とも言い換えられるちゃら。

    「ニーチェじゃなかった、にーちゃんだった」というギャグは、今のところ今世紀最大のギャグと記憶したちゃら。

    客演だけのB面も気になるが見に行けそうにない。よその人たちだけでこの空気感を出せるのかがとても気になるちゃら。
    一見誰にでもできそうで、誰にでもできるわけのないこと(つまり「なんちゃら」を)をやっているように思えるからだ。それは単なる思い入れによる、思い過ごしなのかもしれないちゃらが。

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    2009/11/20 06:18

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