東京裁判 公演情報 パラドックス定数「東京裁判」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    歴史を傍聴したような・・・
    作品が実に緻密に編みあげられていて
    台詞の一つずつに質量がしっかりと乗っていて。

    よしんば傍聴席から見ていても
    感情が舞台上の人物と同化するような
    力を感じました。

    ネタバレBOX

    以前にこの劇場での座席の辛さを体験済なので、
    楽をして傍聴席にて観劇。

    冒頭からの空気の作り方に
    観ている側にすら緊張感が伝染してくるような・・・。

    裁判長が入廷してくるときの起立の姿勢や
    弁論のタイミング。
    主任弁護団の会話のみで進められるシーンの積み重ねが
    実に効果的で
    裁判長や検察側、さらには判事たちや、
    被告たちの表情や気配の描写が
    市ヶ谷の旧陸軍士官学校講堂の
    その日、その時間の感触を今とするに十分な力をもって
    観る側にしっかりと伝わってきます。
    レシーバーから伝わってくる同時通訳を繰り返す声や、
    舞台上の弁護人一人ずつの返答、
    裁判の雰囲気が歴史の縛めを解かれた
    リアルタイムな臨場感を持ってやってくるのです。

    彼らの会話や弁論の中で、個々の弁護人たちの
    個性や抱えているもの、さらには裁判に対する想いが
    滲むように浮かび上がってきます。
    史実を借景にした物語のダイナミックさと、
    弁護人ひとりずつの繊細な想いの質感が重なるとき
    舞台には高い密度が醸成されていきます。

    重箱の比喩、
    検察にニュルンベルグ裁判を持ち出させるための苦闘、
    歴史の足跡としてすら刻まれていく
    ひとつずつの言葉が持つ人間臭さ・・・。
    それぞれに戦争での痛手を負いながら
    一方で戦勝国の正義に噛み付くように
    たとえば戦争は政治の一手段であって犯罪はないという理論を盾に
    その戦争を導いた被告たちを弁護していく姿。

    5人の弁護人の想いに心を震わせ、
    目頭を熱くしながら
    一方であたかも歴史のひとこまを目の当たりにしたような高揚に
    身を任せておりました。

    劇場を離れてからも、いろいろな思いが去来して・・・。
    本当に見応えのある作品だったと思います。








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    2009/11/16 02:36

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