ダイバシティーファミリー 公演情報 A.R.P「ダイバシティーファミリー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2022/08/03 (水) 19:00

    初めに誤解を解いておきたい。「観たい!」への書き込みを拝見していると幾人かの人が青木ヶ原の樹海を迷い込んだら二度と出てこれない場所と思っておられるようだが、現在では青木ヶ原は観光スポットなのだ。遊歩道があり、遊歩道から外れない限りは一度入ったら出られないような恐ろしい場所ではないし、樹海の中でキャンプする人たちさえいる。近年はそうした観光者によるゴミのポイ捨てに加え、外部から持ち込まれた粗大ゴミや産業廃棄物の不法投棄も多く、これらのゴミは地元住民が定期的に始末しているのだという。従ってそういう際に遺書が発見されることもあるし、遊歩道の傍で自殺する人さえいるそうだ。しかも後述するが、この作品の中では遺書がどうして発見されたかの説明もなされている。

    開場して奇異に感じたのは、この劇場だと通常はL字形に客席が設置されているのだが、入口側の客席がなかったこと。が、開演時間になって遅れてきた客の席がなく、慌てて入口側にも客席を作り始め、かと思えば客が着席した後で最前列を外すために移動してもらったりとバタバタ。入口側に新設した客席もほとんど埋まってしまったのだが、予約数と客席数のチェックもしていなかったとは制作スタッフの不手際が甚だしい。で、開演時間に5分遅れで長男・カズヤ役のタカギマコトの前説が始まるが、これまた(場を和ませるためであろうが)不必要なことまで喋るので、結局10分以上遅れて開演。

    【ネタバレBOXに続く】

    ネタバレBOX

    冒頭は激しい雨の中で戸惑う男女の短い場面から暗転し、住職の読経へとつながる。ギャンブルにはまっての借金を苦に失踪し、青木ヶ原で遺言書が見つかったものの(携帯電話のGPSデータをもとに捜したのだという)遺体は発見されず終いの父親・拓郎の七回忌ということで、自宅に家族全員が集まっているのだ。この場面で、三女・みかの恋人・滋に対する多少の怒気を含んだまま住職が帰るのだが、お布施を渡す気配さえないのはちょっと演出上の手抜かりだろう。この前後に集まっている家族たちの状況が手際よく説明されることで、その後の展開がわかりやすい。母親・さちこがこの七回忌を機に新しい人生を始めたいとマッチングアプリで出会った小浜を紹介したところで、親類のかえでから当の父親が生きているようだとの電話が入る。
    探偵を使って探してみれば、その父親らしき男はショーパブで郷ひろみのモノマネをして人気のレッツゴーひろみであり、口数が少なく寡黙だった拓郎とは全く別人格のような男だった。

    この拓郎を演じるHiBiKiはこれが初舞台だそうだが、ショーの場面ではだんだん郷ひろみに見えてくるから大したものだ。そこと家族と対する場面での無表情さのギャップも上手い。

    笑いとしんみりさとのバランスが良く、楽しめる一作となっている。上演時間1時間45分。

    余談ながら、開場4時間前から稼働させていたとのことで、前説やカーテンコールで度々触れられていたマッハガードという安定化二酸化塩素を噴霧して除菌する70万円の機械がヤケに気になった(笑)。

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    2022/08/04 16:52

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