『Q』:A Night At The Kabuki【7月29日~31日公演中止】 公演情報 NODA・MAP「『Q』:A Night At The Kabuki【7月29日~31日公演中止】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ネタバレ

    ネタバレBOX

    野田マップの『Q : A Night At The Kabuki』を観劇。

    ロミオとジュリエットを下敷きに、音楽はクィーンを使用し、英国尽くしの内容になっている。
    再演。

    12世紀の源平合戦の平の瑯壬生(ろうみお)と源の愁里愛(じゅりえ)の愛の物語で、もし彼らが若くして死なずに生き延びていたなら?という過程で展開していく。
    第一幕はろうみおとじゅりえの出会いと死までが描かれているが、隣で30年後のろうみおとじゅりえが「何処で我々は間違いを犯してしまったのか?」と記憶をだどりながら若い時分の自分たちを見ている。
    第二幕は生き延びて苦労しているろうみおとじゅりえを30年前の若いふたりがそれを見守っている。
    時間と場所、過去や未来が瞬時に逆転したり、若いろうみおとじゅりえと30年後のろうみおとじゅりえが出会ってしまったりと大胆な発想と展開、見立て、言葉遊び、クィーン、歴史観ともう野田秀樹満載で十分面白い!と思ってしまいがちだが、ここ数十年の野田秀樹にはそんなに生やさしい演劇観はない。ここで描かれるのは戦争と政治だ。
    独裁者がどのようにして民衆を足蹴にするのか?
    戦争を戦っている名もなき兵士たちは?
    それに苦しむ市民たちは?
    まるでロシアとウクライナの戦争が始まったのでそれを機に再演をしたわけではないが、あまりにもタイムリーな内容だ。
    シェイクスピアのロミオとジュリエットは究極の愛の物語として語られ、そこを軸に様々な演劇人が再構築しているが、ふたりの仲は何故引きさかれたのか?の箇所を見逃してはならない。その答えこそがロミオとジュリエットの本来のテーマであり、今作の見どころだ。
    そこに行き着かなければならなかった劇作家・野田秀樹の苦悩とじゅりえ(松たか子)の涙が交差する。
    大傑作である。

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    2022/08/03 21:50

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