ことし、さいあくだった人 公演情報 藤原たまえプロデュース「ことし、さいあくだった人」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    Barで繰り広げられる悲喜交々、というか ドタバタといった娯楽劇。「ことし、さいあくだった人」にはある共通したことがあり、抗えない運命的な背景を上手く利用している。その情況を逆手にとって強かに生きる姿がなんとも逞しく魅力的だ。

    何となく、コロナ禍で失速・閉塞感ある状況(背景)が重なるが、そんな世相を吹き飛ばすかのようなコメディ。人の滑稽な姿を見て笑って笑って、明るい気持にさせてくれる好公演。
    (上演時間1時間20分)22.7.17追記

    ネタバレBOX

    舞台はBar店内…下手にカウンターと酒棚、上手は椅子席がある。この店は、あまり流行っているようには見えないが、それでも店主・松阪(桑山こたろうサン)は学生時代の友人・柴田(西野優希サン)を雇い仕事を教えているところから物語は始まる。柴田はネット小説でデビューしようと奮闘しているが、なかなかアイデアが浮かばない。そこで この店に来る人たちの面白話をネタにしようと思い付く。

    近所の会社で働く常連客 明子(松尾彩加サン)が、友人の麻美(今出舞サン)の相談事を聞くため来店している。2人の話…恋愛話に興味を示した柴田は、それとなく事情を聞き出す。社内恋愛、それも上司が絡んだ面倒な話だが、それこそ刺激的な小説ネタと柴田は小躍りする。彼と上手くいかないのは、大殺界のせいだと思い込む。六星占術でよくないとされる運気の流れらしいが、こればかりは本人の力ではどうしょうもない。残業している彼・向井(熊坂貢児サン)を呼び出し、本心を探ったり、風俗遊びを問い質したり面白ネタを次々ぶち込む。圧巻は明子が向井と付き合っていることがバレるという、三角関係の修羅場へ加速していく。もっと刺激的な小説ネタにしたく、柴田はそれぞれの人物の不平不満、心配事を煽り続ける。

    痴話状況が一段落したところに、別会社の上司・同僚らしい男性3人組の客が来店する。こちらは やたら死にたがる男・木佐貫(五十嵐山人サン)、それを宥める課長・小谷野(用松亮サン)、木佐貫に好意を抱いている和田(スイスイ サン)、その3人の取り留めのない会話が続く。そこに先の痴話喧嘩が絡みドタバタの様相へ。ここに居る人達は皆、大殺界中ということで、良くない運気が漂っている。ラストは年越しシーンで大殺界を終えるが…。

    この大殺界とコロナ禍が抗えない状況として重なり、何とか脱しようと足掻いている姿が、今現在の社会情勢ではないだろうか。俯瞰してドタバタしている人の姿を眺めるのは滑稽で笑えるが、本人にしてみれは真剣そのもの。登場人物を今の社会情勢に置き換えてみたら、と考えたら笑うに笑えない足元が見えてくるようで複雑な気持だ。案外、今の時期に上演するに相応しい内容かも知れない。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/07/16 12:50

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