アヌーク・ファン・ダイク「STAU」 公演情報 ダンストリエンナーレトーキョー「アヌーク・ファン・ダイク「STAU」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    トリエンナーレ・フィナーレ
    ダンストリエンナーレの最後はオランダの女性振付家アヌーク・ファン・ダイクの作品。フェスティバルの後半は天気もぐずつき、疲労もたまってきたが、どうにか通し券を無駄にせずに済んだ。最終公演にふさわしく、面白い趣向を凝らしている。

    この作品だけはこのあと金沢でも上演されるので、これから見る人はネタバレBOXを開けないほうがいいと思う。

    ネタバレBOX

    劇場に着くと、カバンと靴を受付に預けてから入場するという。絨毯が敷いてあるとはいえ、それまで靴を履いて歩いていた場所をいきなり靴を脱いで歩くというのはちょっと抵抗があった。日本に初めて来た外国人が日本の家に靴のまま上がろうとして注意されるのならわかるが、来日した外国カンパニーの公演会場で日本人が靴を脱がなきゃいかんというのはヘンな話だ。しかし逆らうわけにもいかず、おとなしく従う。
    開演時間になってようやく入場。いつもの円形劇場とはちがって、フロア全体が丸く平たい床になっていて、その中央部分に座席が設けられていた。真ん中に四角い舞台スペースを残して、3列の椅子が四角を描くかたちで並んでいる。舞台を客席が2方向から挟んだり、あるいは4方向から囲むというのは演劇の公演ではちょくちょく見るが、ダンス公演では珍しい。最近ではイデビアン・クルーの公演で2方向の座席というのがあった。
    観客が入場する間も、ダンサーたちはフロアに佇んでいた。やがて客入れが終わるとまず、舞台監督みたいな人が、今回来日できなかったアヌーク・ファン・ダイクに替わって、開演前の挨拶や諸注意やダンサーの紹介などをした。それが終わっていよいよパフォーマンスが始まったのは予定の開演時間を20分ほど過ぎたころ。
    前半は男女二人のダンサーが登場。ノイズ系の音楽が流れるなか、ときどきマイクロフォンを爪ではじくようなヴォッという音に合わせて、身震いみたいな痙攣的な動きを差し挟みながら踊る。体を近づけつつも触れない距離で、鼻をクンクンさせたり、びくっと痙攣したりと性的なニュアンスの漂う出だしから、徐々に離れて今度は観客に絡み始める。その場合も、近づくけれど触れることはほとんどしない。いじられるのはもっぱら最前列の客。客の座っている椅子の下にもぐりこんでそのまま向こう側まで通り抜けたり、暗転を挟んでほんのつかのま、男性ダンサーが全裸になったりした。
    ダンスの振付うんぬんよりも、パフォーマーと観客の距離を縮めるというのが作り手のねらいらしい。いちばん遠くても3列目だから、いやでもダンサーの体が身近に感じられる。
    後半は観客全員を立たせてから、設置されていた椅子をすべて撤去する。ここからはオール・スタンディング。女性ダンサー2人が加わる。部分照明があらかじめ決められているらしく、あちこちで踊るダンサーを照明が順繰りに照らしていく。ダンサーの移動に合わせて観客もぞろぞろと動く。ときたま4人のダンサーが観客一人を取り囲むこともあったが、観客をダンスに巻き込むのはいちばん最後の場面だけで、それもほんの数名だったので正直なところホッとした。後半でも男性ダンサーは全裸になって二階でスポットライトを浴びていた。
    正味1時間。座席が4方向からステージを囲む前半も、観客がオールスタンディングになる後半も、個人的には過去に見た演劇作品で体験済みなので、それほどビックリするということはなかった。ただ、このフェスティバルを通じて、いい場所を占める関係者席の多さが気になっていた者からすると、パフォーマーと観客だけでなく、一般客と関係者の垣根をも取っ払ったこの作品は、フェスティバルのラストを飾るにふさわしいといえるかもしれない。

    せいぜい30分くらいのスタンディングだったが、それでも途中で床に座り込んでいる若い観客がいた。パフォーマーの動きがしばらく止まっていたからそうしたのだろうし、パフォーマーが移動したらまた立ち上がったとは思うが、それにしても足腰弱すぎ。

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    2009/10/08 23:57

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