呪われたバブルの塔 -アフターサイド- 【舞台写真掲載!】 公演情報 北京蝶々「呪われたバブルの塔 -アフターサイド- 【舞台写真掲載!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    通して見えるものがある
    1日のビフォーサイドに続いての観劇。

    ひとつのドラマとしても完結しているのですが
    明らかに両方を観ることによって伝わってくるものがありました。

    時代感覚の秀逸さに舌を巻いたことでした。


    ネタバレBOX

    ビフォーサイドとほぼ同じ舞台のつくり。
    ただ、その空気はかなりちがっていていました。

    ビフォーで溢れていた
    ビルに対する深い情念や怨念のようなものに変わって
    もっとグローバルな視点と
    ドライなテンションが舞台上に醸しだされていたように
    思います。

    とはいうものの、人が虚飾の価値を膨らませていくという
    ベースの部分はがっつりと貫かれていて、
    質感は違っても、ビフォー同様に
    ビルに関わる(った)個々のキャラクターからは
    それぞれが持つ視野の範囲や、
    範囲によって変わる思いの色が
    くっきりと伝わってきてきました。
    風水師やビルの元オーナーなど、
    時間軸やグローバルな動きを見定めるキャラクターが
    観客の視点を見晴らしの利くところになにげに導くあたりも
    作劇のしたたかなところ。
    ビルを巡っての
    後ろ暗さを感じるような組織同士の擦れ合う切迫感だけではなく、
    それらですら抗うことのかなわぬ
    時代の揺らぎや振幅が重低音のような
    存在感をもって伝わってきて。

    また、アフターサイドだけでも
    伝わってくるものはたくさんあるのですが
    通しでみることによっての更なる膨らみも
    間違いなく存在していました。
    なんというか1+1=3になるような仕掛けが
    いくつも折り込まれ機能していて。

    バブルのころに建てられたビルのクロニクルと重なるように
    この国の近過去から静かに強く揺らぎつづける今が
    ぞくっとするような肌合いで浮かび上がってきます。
    それらを具現化する役者達には、
    さらに良くなる余白がありつつも
    物語の肌触りを繊細に編み上げきるに十分な力を感じて。

    両バージョン観終わって、
    自分の生きてきた時代が
    何時もと別角度からすっと見えて・・・、
    慄然としたことでした。

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    2009/10/06 06:56

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