ナイゲン(2022年版) 公演情報 Aga-risk Entertainment「ナイゲン(2022年版)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2022/06/24 (金) 14:00

    「自主自律」とは何かというガチガチに固いテーマを、徹底的に高校生目線でバトらせる面白さ!練られた脚本と巧みな展開、豊かなキャラクターに最後までぐいぐい惹きつけられた。議長と監査委員長の進行が素晴らしく、会議の2時間で登場人物たちの成長が見える。この文化祭に行ってみたいです!

    ネタバレBOX

    2006年の初演以来劇団も再演を重ね、また多くの団体によって上演され続けている
    “演じたくなる脚本”に興味津々で初めての観劇。
    これが本当に素晴らしかった。

    ●~○~●以下ネタバレ注意●~○~●

    開演と同時に、生徒たちが次々と登場、
    舞台上に並んだスクール形式の机を、コの字型の会議形式にしていく。
    これから始まるのは伝統ある「ナイゲン」、内容限定会議だ。
    県立国府台高校の「自主自立」も今は形骸化して、
    唯一文化祭のための会議「ナイゲン」として生き残っている。

    1年生から3年生までの合計9クラスの代表がそれぞれの発表を終え
    「あ~終わった」感が漂う教室にとんでもないニュースが飛び込んでくる。
    9クラスのうち1つだけ、学校が参加を決めたキャンペーンにのっとり
    環境問題をテーマにしなければならないというのだ。
    「うちわを配布し、定期的に打ち水をし・・・」というイベントを引受ければ
    自分たちのクラスの出し物は実施出来なくなる。
    焼きそばを、アイスクリームを、縁日を、演劇を諦めることになる。
    クラスの期待を背負う9人の代表は、
    生き残りをかけて壮絶なつぶし合いを始める。

    ここからのつぶし合いの“ネタ”が秀逸だ。
    “似たような店だから一方は無くなってもいいんじゃね?”
    “1年生は先があるから我慢するべきじゃないか”
    “時代劇で似てるから演劇ひとつ減らしてもいいんじゃないか”
    “その場所で水とか使うのってダメなんじゃないの?”
    等々の案が出て、その都度挙手によって採決がなされていく。
    様々な思惑から、採決の度に潰されるクラスは変わって行き
    会議は嵐の中の小船のように波にもまれ翻弄されていく・・・。
    幼さとしたたかさをフル回転させた高校生の泥仕合が演劇的にどハマリ。
    進行役「議長」と「監査委員長」が会議の要となっているが
    やがて形式的な立場から、会議の行方を大きく左右する行動に出るのも面白い。
    各キャラクターの豊かな造形が不自然さを感じさせない辺りが巧みで
    時にオーバーな芝居も、ムキになると暴走するあの世代らしさが出る。

    一体どう折り合いをつけるのかと思っていると、あの結末だ。
    正論を吐く一人の反乱が会議を硬直させ、タイムリミットを目前にして
    追い込まれたメンバーが必死になって手繰り寄せたアイデアが素晴らしい。
    さっきまで潰しのネタに使ってきたワードが、一転して救いの神になる。
    全員の気持ちが真っ直ぐ伝わって来て
    泣くような話じゃないのに、議長の表情に涙があふれた。
    みんな最初はチンタラしてたのに、この2時間で大きく成長した。
    そして観ているオバサンも、今さらだけど成長したと思った。
    素晴らしい脚本と全員熱演、ありがとう!





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    2022/06/25 02:07

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