実演鑑賞
#秋山菜津子 #相島一之
#山野史人 #加藤佳男
#外山誠二 #福本伸一
#津田真澄 #田村真央
他(敬称略)
『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャン、『ヴェニスの商人』のシャイロック、『藪原検校』の杉の市、ひいてはマリーアントワネットなどを思い起こした。市民による裁判や公開処刑には民衆の妬みを発端にする憎悪が膨れ上がる。人間の欲望は果てしない。自分に不利益があれば、或いは大きな利益を得るチャンスとあらば、そのうねりの遠心力は恐ろしく大きくなる。
過ちを犯した者の改心について考える。人生は取り返せないのか。
正義(その時代の世情)の側に暴挙があると危険で恐ろしい。
民衆の良心、秩序、道徳…それらは、貧しさと、チラつく豊かさへの誘惑によって、簡単に崩壊し人を裏切らせる。
恐怖が膨張し一線を越えれば、人は自らの命を絶つことも少なくない。それを自らによる己への判決とするのなら、他者は手を汚すことは無い。それを拒否し正義を振りかざす暴挙と対峙するなら、手を下す者たちの心にシミを残し疼きを与え続けるかもしれない。その者たちの手に残った感覚は、眠りを殺したマクベスの手に付いた血と同じかもしれない。
冒頭の軽薄さと、沈んでゆく後半の不穏な空気の不気味さ、そしてラストの秋山菜津子さんの美しさ、それらのギャップが終演後のカラダにまとわりついた。