悪趣味 公演情報 柿喰う客「悪趣味」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    もう、なんつうか、アレなんすよアレ
    つうか、ストーリーとか、もうどーでもよくって、投げた球は全部拾うわけでもなく、一見悪趣味に、いろんなトコやコトを広げたりしているけど、ま、なんつうか、アレなんすよ。
    デスってやつ? ブラックってやつ?

    っていうか、イイカゲンってやつっすかね。
    っていうか、コントロール抜群なんすよね、そのイイ加減さってやつがぁ。

    ネタバレBOX

    注意事項の場内アナウンスからふざけているだ、これが。
    ああ、この世界なんだと確認しても、しょっぱなのハイテンションには、少し疲れた。
    けど、人間っていうのは、環境に順応しやすいから、あっと言う間にこの世界に違和感なくとけ込めた。

    とにかく、お下品というかなんと言うか。
    つまり、単に内容や台詞が下品というわけではなく(いやいやもちろん下品っぽい台詞もあるんだけど)、台詞を言わせるのに、わざと誰でも知ってるような下世話な歌にしてみたり、スベることを約束した幕間コント的なものを入れてみたり、話を脇道に逸らせて主人公に「本編のほうへ」などとメタなこと言わせてみたり、休憩を入れてみたり、「それからどうした」なんていう、話の腰を折るような合いの手を入れてみたりと、その様、見せ方が実にお下品なのだ。
    とにかく面白がっているだけで、まるで「なんすか? っていうか、品とか関係ないんすよ、こっちは」と言ってるよう。
    そこが狙い。笑わせようとしているだけでなく、状況を楽しんでいる感じ。

    見事にコントロールされている下品さで、観客を手玉にとる。
    役者も真剣にお下品で美しくもある。
    しかも、観客との共犯感覚の造成中。

    ボー読みの台詞、中腰でいつも力んで言う台詞、ストーリーにまったく関係ないキャラクター。
    どれをとってもけたたましく、楽しい。

    家族愛的な背骨がある舞台なのだが、お下品さの延長にそれがあるバランスがいい。ただし、本気で家族愛がテーマなんだと納得したら誰かの思う壷なのかもしれないのだが。

    どうにかするとバカバカしさを突き抜けて、相乗効果、シナジー効果で笑いと悪趣味とがクライマックスに向けて増長していくものだが、これは違う。あえて増長させない。あえて? そう、あ・え・て。

    なんつうか・・・
    そう、メタルだね、デスメタルというか、今回はブラックメタル。
    最後に大盛り上がりなんてないデスメタル。
    どこかおしゃれなNWOBHMとは違うメタルだ。
    ただし、B級、下手すればC級メタル。

    泥臭く、悪魔を讃え、デス声でがなる。
    デス声だと観客に台詞が聞き取れないので、聞こえる程度に声を張り上げる。

    デスなんて歌詞が聞き取れず、聞き取れたとしてもたいしたこと言ってるわけではなく(たぶん・想像の域)、音の暴力、リフの気持ち良さに身を任せるのみ(たぶん)。

    柿喰う客もそんなデスメタルな集団で、今回はブラックメタル増量中。

    デスの歌詞だって、聞き取れないとは言え、何でもいいようで何でもいいわけではない。テイストが大切なのだ。
    だから、舞台の中に詰め込まれているのは、どーでもいいようなことなのだが、それの個々のテイストは非常に大切。

    そのテイストが、観客がヘッドバンギングするに値すると思えば、頭を激しく振ればいいだけで、そう感じなかったら、そこを去ればいいということなのだろう。
    感性とは違う、波長のようなもの。
    数多くのデスメタルバンドがある中で、あれだけは「ネ申」というバンドがいる代わりに、「クズ」というバンドもある。でもそれは個人個人の感覚なので、一般的なものではない。まったくそれを真逆に感じる人もいるのだ。

    この舞台には、ギターソロやドラムソロ、ブレークや休符みたいなものもあったりしつつ、適度な音圧も感じる。それは単に音が大きいということではない、メタル的な精神(そんなものがあるとすれば、なのだが)が込められている。

    だから、やっぱ、アレなんすよ、デスなんすよ、たぶんですけどぉ。

    でも、個人的には、重〜い、うんと重〜い、ドームメタルな柿喰う客も観たい気もするんすよねぇ。

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    2009/09/07 03:10

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