GK最強リーグ戦2022 公演情報 演劇制作体V-NET「GK最強リーグ戦2022」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    「家族会議」
     さて、本日の後攻・大和企画の登場である。先行の猿組は妖精として出演もし、作・演迄こなした東野裕氏が余りに一人で多くを負い過ぎたきらいがあったが、大和企画は作・小金丸大和氏、演出・小林大祐氏と分かれていて、ペンネーム等を用いて同一人物がこなしているのでなければ各々の持ち場を専任の方が担っている。

    ネタバレBOX


     50分でよくこれだけ本質的な作品を創った! と称賛したい。登場人物達の設定が先ず秀逸である。登場するのは3世代に亘る人々。{下手袖は亡くなった(母=祖母)の遺体が安置されている部屋。亡くなった本人は登場しない。}
     既に他者の言う事を認知する能力を現実には欠いた、元売れないコメディアンの父・清作。(但し父に関する親族らと関係のあるシーンや、フィードバックシーンではちゃんと受け答えする)、貧しさの齎す苦労を体験して育ち経済力に乏しい父の代わりに一家の担い手として活躍後堅実な収入を求め公務員として、只管実直に生きて来た長男・清一。長男に大学へ行かせて貰い、卒業後は小説家を目指し売れないまま、借金迄拵えて母の葬儀に駆け付けた次男・清次郎。借金2000万を取り立てに次男を追い掛けて来た闇金社長・堀田。名門大学に受かりながら役者を志願する清一の息子・大聖。清作の隠し子で富裕な葵、その執事・安藤(弁護士資格も持ち、武道にも秀でる)、清一の妻・静子(大聖誕生頃からずっと離婚を考えてきた)、嫁に出た長女・真理(自由、自発を大切にする、美人ではないが心優しい妻、夫と深く愛し合っている)、良夫(真理の夫で優しい心の持ち主、職業は教師)以上10名が登場人物である。
     主たる対立軸は、生活と夢の対立ということになろう。自分の人生を選ぶに当たってどちらを中心に自分の実人生を設計してゆくか? という誰にとっても最も大切な選択の1つを対立軸として生活を成り立たせる為に他の総てを抑制、或は犠牲にしてきた清一の生き方と小説家になるという夢の為、他をなおざりにする生き方を選んだ清次郎や大聖との生き様の差に対して、また生涯売れないお笑い芸人として貧しさの中に生きた清作とその妻の貧しさ故の苦労に対し、貧しくとも心豊かに他人に優しく朗らかに何より自分の選んだ道を歩む楽しさとこれらを通して得る幸せを選ぶことのわくわく胸躍る実感を伴う人生を対比して見せる。無論、後者は演劇に関わる総ての人々の夢に重なる。然し現実的には経済的に極めて全うすることが難しい選択であるが、大団円ではこの困難だがそして険しく心許ない人生だが、それに賭ける生き方を選択し、そのような生き方を容認する形で収束させてみせる。無論、その過程で清作の浮気、隠し子問題が齎したぎくしゃくした人間関係や清次郎の借金問題も解決されている。脚本、演出、演技何れも素晴らしい。

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    2022/05/28 15:27

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  • えざきかすみ さま
     矢張りそうでしたか。貴重な情報ありがとうございます。
    ですが、こちらの作品は矢張り人生経験の差がハッキリ出ましたね。
    とどのつまり、技術の修練と思索の深さ、苦悩や苦労、失敗と成功の混在から
    自分は何を学び、他の方々に何をどう返してゆくのか? ということと、常に
    忘れてならないことは、我々は何処から来て、何処へ行くのか? 人間とは何か?
    という問いだと思います。偶々本屋で書棚を眺めていたら森達也さんがこのことを
    本にしていて、自分が死ぬ前に1冊キチンとした詩集を編もうと、本質的にはこのテーマで執筆中なものですから、先を越されたなと思った次第です。まあ、ジャンルは異なるし
    他に本質的にこのテーマに等値できるようなコンセプトを自分は未だ充分内包していないので続けて書いています。それにしても表現自体は普通に歳をとることを許してくれないのがとても有り難く思えます。
                              ハンダラ 拝

    2022/06/02 06:19

    ハンダラさん
    「家族会議」のご感想もありがとうございます!
    作演出は同一人物でそれぞれ別の名前を使っています^_^

    2022/06/01 15:05

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