【The last stage】鳴り止まぬカーテンコールのように、
いわゆる終演後になっても、客電が灯り、小屋の扉が開け放たれても、
少なからぬお客さんたちが席を立たず、舞台上に佇む役者(多田淳之介)を凝視しつづけていた。
おそらく、客がすべて退出しないかぎり、役者は舞台を降りない覚悟、なのだろう。
一方、観客の側も、劇中で、「役者がいれば舞台はつづく」「観客は劇場をでると観客ではなくなる」といったことが語られていたこともあり、自分たちが帰らないかぎり終わらない芝居のつづきを観たがっていた。舞台上には身動きしない役者が立っているだけで(表情は変化する)、これ以上のなにかが起こる可能性などなさそうなのに。