実演鑑賞
満足度★★★★
初演を観たのは何と5年前(そんな経ったかな..)、ナベ源メンバーの美味しい配役で判りやすく観た初演に比べ、今回の花組芝居役者のは男二人で男女を演じる。ただ、母に見えるまでに時間が掛かったり、更には役の入れ替えがあるが替わり目がいまいち鮮明でなく(というより入れ替える理由が判らない)、ナベ源役者って巧かったんだなと改めて思ったりする。
もっとも戯曲の開かれた可能性を新キャストで探る意味はあり、事実、別の芝居として立ち上がった感はあったが、技を繰り出す脇の植本氏のキレを(芝居の方が)掬い切れてたか、についてはやや不全。
民間会社が紛争地へ派遣する要員(傭兵的な)を募る日本の近未来を半ば戯画的に、鋭く描く芝居ではあるが、具体的な戦争の姿がよりリアルに感じられる2022年現在、仄めかしをしている段階ではない、という感覚もよぎる。現実を刺す演劇の貴重さと共に難しさも考えてしまった。