満足度★★★★★
記念碑となる作品!
27歳の演出家が小劇場の役者を集めて、17世紀のブランヴィリエを演るという、一見途方もないミスマッチが、逆に反作用のエネルギーとなって、舞台の質を高めている。小劇場でこんな芝居が出来る劇団が他にあるか!という演出家の声が聞こえてきそうだ。
連続殺人犯として名高い実在のブランヴィリエ公爵夫人を谷賢一がどう料理するかと想像を巡らせていたが、あくまで正攻法でこの猟奇的物語に挑んでいた。そして正面から堂々とこの物語に対しながら、既に事件自体で劇的なこの物語を、ダルカラの色に染めて美しく見せてくれた。すごい演出力だと思う。
チラシを観た瞬間からこの劇団が今回の公演にいかに賭けているかということがよくわかったが、期待どおり見事な作品に仕上がった。
初日で役者が若干噛んだところを除いてはパーフェクトと言っていい。モリエール進出と併せて、DULL-COLORED POPが一段階、駆け上がった記念碑となる作品だ。