実演鑑賞
満足度★★★
昨年8月に演った短編二本立てイベント『うたかた』。その中の一編、「腥(なまぐさ)の壺」〈脚本烏丸棗(なつめ)・演出杉本等〉が素晴らしかった。何か理想の美のバランスを保った作品で作家の一つの到達点だと思う。未だに「何か凄く嫌な夢を見たが堪らなく美しかったなあ」なんて記憶に残る。となると勿論新作にも期待は高まっていく。(あれを観た人は今回全員観に来てる筈)。
『衣人館(いじんかん)』
マンションの一室、無数の可愛い服やアクセサリーが店内のように部屋中に並べられている。住人の石澤希代子さんは“可愛い”に取り憑かれ、それ以外の価値観を拒絶。彼女の憧れの“先生”、丸本陽子さんとお付きの稲葉葉一氏が会いに来てくれる。“先生”はかつてサロンで、彼女に可愛く在る為の心得を講義してくれた。世界中を放浪しているバックパッカーの弟(飯智一達〈かずと〉氏)が御土産を手に帰国して来るのだが・・・。
石澤希代子さんの表情と高い声が狭い室内を狂気で充たしていく。丸本陽子さんの雰囲気も見事。後半のヴィジュアルが鮮烈でラストは美しい。