満足度★★★
公演の新しい形
シアターグリーン学生芸術祭のひとつの売りになったTANG PENG 30、これは3つの劇団が30分ずつの公演をするという三本立て興行。今回はAチームとBチームに別れ、今日はAチームを拝見した。
参加したのは桜美林大学の大石憲の一人芝居、早稲田大学のたすいち、立教大学のUO企画。三つ併せて「お、わ、り」という意味深なタイトルが付いている。つまり、ひとつひとつ独立した芝居でありながら、3つの芝居が相乗効果をもたらすという構成なのだ。
なるほど、観客は満席である。そのひとつをとってもても3劇団の合同興行というのは意味のあることだろう。
大石憲の一人芝居は、トップバッターでやりにくかっただろうが、スパイの恋の物語を一人何役もこなす器用さで魅せてくれた。ただ、途中から声が少しかすれてきたのか、聞き取りづらいところがあったのが残念。
たすいちは全員が達者な役者で、多重人格という難しい設定を見事に演じていた。特に主人公ユカを演じた椎谷万里江の声が素敵だった。
UO企画は男性が妊娠するという話をカフカの変身にひっかけ、面白い不条理演劇に仕立ててみせた。端々に魅力的なシーンがあったが、全体としてはまだまだ未完成さの残る芝居だった。発想がいいだけにもう少し磨くと面白くなりそうな芝居だった。
どちらにしろ三大学の有志が集まり、三本立てで競い合うというのは素晴らしいこと。この公演を通じて、輪が広がり、ライバルとして競い合う下地が出来れば大成功であろう。シアターグリーンの企画に拍手を送りたい。