実演鑑賞
満足度★★★★
口コミがあまりに評判いいので、つられて見に行った。確かに面白い。女性客室乗務員同士の、カッター持ち出した痴話げんかから始まって、まずあっけにとられる(これは前作「顔」同様、最後の修羅場を冒頭に持ってくるやり方で、芝居の一番の難所である設定紹介の序章部分をクリアする)
航空社員たちの四角関係と、ハワイ客の女性3人とやくざな男女二人の、虚々実々の駆け引きや夢と挫折がギューッと圧縮されて展開される。ボケと突っ込み、機知にとんだ会話のキャッチボールや、巧みなドタバタで笑いが絶えない。飛行機がハイジャックされてバズーカまで発射するド派手な展開も楽しめた。ほかにも、冷めかけた夫婦関係が、周囲を笑わせながら、「蒲田行進曲」で見事に夫婦の絆の復活に回収される。
さらにその裏が明らかになるどんでん返しの仕掛け、時間をさかのぼっていく作劇術。歴史や政治などの難しいことは何もないけれど、とにかく、ウィットとギャグと仕掛けと、夢破れた悲しみと、再起の希望の人情ももりこんでうまい。