広島ジャンゴ2022 公演情報 Bunkamura「広島ジャンゴ2022」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    牡蠣工場の主任水村(鈴木亮平)が好きな西部劇を見ていたら、目覚めると西部劇の街ヒロシマの馬に。訳ありげなパートの山本さん(天海祐希)は、凄腕の女ガンマン・ジャンゴ(実はアンナ)に。夫殺しで追われ、娘ケイ(芋生悠)との逃避行。立ち寄った町が、水不足に悩み、井戸を独占するティム(仲村トオル=ワンマンな工場長と一人二役)の収奪と専横に苦しんでいた…。

    強者の暴力に痛めつけられる弱者のうめきが随所に聞こえる。とくに男性(原理)に抑圧される女性たち。夫を殺したジャンゴもそうだが、山本さんは夫が娘を取り戻しに来るのを恐れているようだ。水村(=馬)の脳裏に現れる、姉・みどり(土井志央梨)の自殺は、「女子力」不足をあげつらう職場のいじめが原因だった。

    水村の詩的なモノローグや、活気あるラップもちりばめながら、ファンタジーであってリアルな、弱者と強者のせめぎあいが展開する。
    西部劇での経験を経て、水村は山本さんに少し寄り添い、工場長に対し、前はできなかった自己主張をしてみせる。それがそのまま通りはしないが、一歩前へ踏み出す希望を感じさせるラストだった。

    ネタバレBOX

    自前の井戸を掘って町を救おうとしたチャーリー(藤井隆)一家は、ティムの差し金で家を焼かれ、井戸も破壊された。最初はチャーリーを応援した住民たちは、ティムの雄弁と扇動で、チャーリー糾弾にコロッと変わる。ティムを倒そうと呼びかけたドリー(宮下今日子)が逆に血祭りにあげられる。シェイクスピア「ジュリアス・シーザー」のような、イプセン「民衆の敵」のような、民衆の気まぐれと恐ろしさを示す展開だ。

    ティムの弟に襲われた友人(北香那)を助けようとして、ケイは弟を撃ち殺し、絞首刑にされそうになる。ジャンゴの夫を殺したのは、実は娘だったと、ケイの記憶がよみがえる。夫が娘を犯そうとして、止めたジャンゴに夫が暴力をふるったのだ。
    町の水不足も、実はティムの仕業だった。川を上流でせき止めていたからだ。
    ラストのティム一味とジャンゴの銃撃戦。馬のラップの応援もあり、ジャンゴは獅子奮迅の大活躍。「ティムはおれひとりじゃない。次々ティムは現れる」という捨て台詞に、天海祐希も「ジャンゴも私ひとりじゃない」と返すところが、かっこいい。

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    2022/04/16 09:39

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