実演鑑賞
満足度★★★★
牡蠣工場の主任水村(鈴木亮平)が好きな西部劇を見ていたら、目覚めると西部劇の街ヒロシマの馬に。訳ありげなパートの山本さん(天海祐希)は、凄腕の女ガンマン・ジャンゴ(実はアンナ)に。夫殺しで追われ、娘ケイ(芋生悠)との逃避行。立ち寄った町が、水不足に悩み、井戸を独占するティム(仲村トオル=ワンマンな工場長と一人二役)の収奪と専横に苦しんでいた…。
強者の暴力に痛めつけられる弱者のうめきが随所に聞こえる。とくに男性(原理)に抑圧される女性たち。夫を殺したジャンゴもそうだが、山本さんは夫が娘を取り戻しに来るのを恐れているようだ。水村(=馬)の脳裏に現れる、姉・みどり(土井志央梨)の自殺は、「女子力」不足をあげつらう職場のいじめが原因だった。
水村の詩的なモノローグや、活気あるラップもちりばめながら、ファンタジーであってリアルな、弱者と強者のせめぎあいが展開する。
西部劇での経験を経て、水村は山本さんに少し寄り添い、工場長に対し、前はできなかった自己主張をしてみせる。それがそのまま通りはしないが、一歩前へ踏み出す希望を感じさせるラストだった。