彼女たちの断片 公演情報 東京演劇アンサンブル「彼女たちの断片」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    女性劇作家のオリジナルを女性が演出した女優のみによる舞台。
    妊娠・中絶という女性専科なテーマを男性抜きに語る、その事により語りの真実味を試される場となり、事実真実味を取り戻していく。一夜の「出来事」の帰趨は重要ではあるがそれよりも語られる内容、語るという行為、そして繋がりの形成にも幾許か、スポットが当てられる。

    ネタバレBOX

    石原燃と言うと報道問題を人間ドラマ化したPカンパニーの「白い花を隠す」があり、問題理解の深さが優れたドラマ構成に表われる、クレバーな書き手という印象だったが、今作もその印象に違わずで、既成概念を一つずつ剥がす手付きは(台詞は人物になじんでいるが)頭脳派と感じさせる。客観的情報(どこで拾ったかも含め)と一個人の主観的意見を巧く組み合せて平らかな地平に地ならしをし、「その上で、どうしますか」と問いかけている。
    ポストトゥルースの現在、「利益」の最大化という大義名分が議論上は「事実性(真実か否か)」と同等又はそれより上位ににある土壌では、「意外な事実」も既に出尽くした問題について、論を起こすのは難しい。本作では知られていない、あるいは改めて問い直す事のなかった制度上の問題も多く語られた。だが例えば夫婦別姓や、同性婚の公認、また日本の汚点とされる歴史上の事実について、凡そ反駁側の根拠が薄い案件が、平然と否定されている状況に、同じアプローチは通じそうにない。それだけに、この書き手に密かに期待を寄せている。

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    2022/03/27 08:59

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