カトラリ 公演情報 現ア集「カトラリ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    初見の団体。
    「シアターグリーン学生芸術祭や道頓堀学生演劇祭での受賞経験のある劇『かけっこ角砂糖δ』のメンバーを中心に結成された団体」ということで、学生演劇団体としては実績があるようだ。過去には、達磨だらけの銭湯、ゆで卵製作機設置済みアパート、常に移動する町工場、機械じかけの神社などを上演してきたらしい。

    本作は「交番」が舞台。警官3人コントのようだ。取り留めのない会話が1時間続くが、クスッと笑わせる小劇にして笑劇的な公演。しかし、全体的に単調で会話が漂流しているのか止まっているのか判然としない。過去公演は観ていないが、タイトルから非日常空間のように思えるが、今回は交番という現実(現場)、その中でどう会話を面白可笑しく転がせるか。確かに笑えるが、インパクトが弱い。そういう劇風かもしれないが…。見所は説明にある「規律」と「リズム」、それをもっと強烈に!
    (上演時間60分)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、交番内ーー奥からカウンター・机・ロッカー等が配置され、雰囲気は伝わる。上手のカレンダーは2022年3月だが、台詞は夏だったような。

    物語は1人が交番内で報告書を書いており、パトロールから帰った2人を交えて雑談が始まる。いつも見かける人がいなかった、いや、それは昨日のことだ…記憶がチグハグする。1人がパトロールになると膝が痛くなると言い、他の1人が心理的なことかと応ずる。また注意喚起のため指差し確認をするが、その後の行動に繋がらない。忘れないために、予約アプリを利用しているが、何を予約したか忘れる。本来の目的を果たせない間抜けな悩み。その間に近所の人(登場しない)から騒音についての謝り、落とし物が届けられるという部外者(第三者)も登場させ、空間の広がりを観せる。

    間違いをしないための手段・行動、それを一般人に比べて厳しい規律が求められる警官(交番)を通して描く。ところが、大切な行動が伴わない危うさが露呈する可笑しさ。極めつけは、事態が発生しても自分たちは動かず、マザーポリスのモニター指示によって小型ロボットが出動する。言動不一致なところに面白さを表す。

    終盤は、落とし物を届けた人物を巻き込んでのストリートミュージック、肩たたき、鍋裏、ダンボールへの打突で盛り上げる。しかし、盛り上げたままアッサリと収束してしまい、印象が弱い。
    せっかくのセンスある会話が生きてこない。例えば、騒音を謝った人が、逆に音楽が「うるさい!」(声だけ)といった注意をする。そんなシュールな展開があれば、「規律」にも結び付くと思うのだが…。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/03/20 20:18

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