OM-2×柴田恵美×bug-depayse『椅子に座る』 公演情報 OM-2「OM-2×柴田恵美×bug-depayse『椅子に座る』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    タイトル「椅子に座る」であるが、冒頭、観客を立たせての観客参加型はどうなのかなぁ。
    さて、OM-2×柴田恵美×bug-depayseのコラボ公演であるが、共通して描いているのは「人」であり、もっと言えば「生きる」である。「異端」=「自分の存在」を切り口に「椅子」という物を使用して表現しようとしているが、一部字幕があることによって、視覚をそちらに奪われた感じだ。
    (上演時間1時間40分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台セットは競演によって異なる。

    100㎏を超えるパフォーマンス/佐々木敦さんの宮沢賢治の心象風景。幾つかの小道具ー椅子、旅行鞄、傘がある。教材として「公演にあたって」という20ページもの冊子を配付し、観客にその一部を朗読させる、という実践講座付きである。教材に宮沢賢治の代表作「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」や構成演出の真壁茂夫氏が書いたもを含め、再構成したと書かれている。またNHK番組「宮沢賢治銀河への旅~慟哭の愛と祈り~」というドキュメンタリーで彼への印象が違ったと、そして彼の生き方にOM-2の在り方と共通する部分があるような気がして、とある。ドキュメンタリー番組を見ておらず、真偽は分からない。あくまで表層的に観た公演から…。

    さて、宮沢賢治が同性愛者という内容であるが、真偽は分からない。佐々木敦さんのパフォーマンスからはその片鱗さえ窺えない。身悶える様な狂おしさ、逆に大地を力強く踏みしめる足音、無声の身体表現の中に宮沢賢治の人生・世界観という内面を表出しようとする。始めは椅子に座り、だんだんと立ち上がってのパフォーマンス。側面の壁には人影が妖しく蠢く。後方 上部に字幕を映し場景説明。味気ない演出にも思えるが、一方スーパーボールや紙吹雪を降らせる情景描写というアンバランスが気になる。音楽は、共振・共鳴など響くもので心を揺さぶる。

    吠える孤独、狂気…異形をもって概念を破壊する障碍者の俳優/野澤健さん。後方 横一列に置かれた椅子に出演者が座り、中央に旅行鞄。野澤さんは宮沢賢治の同性愛者と言われた保阪嘉内を連想させ、虐められているような。しかし同性愛という「異形」に止まらず、弱き者たちといったー当時も今も変わらない市民(宮沢賢治の時代であれば農民か)に思える。野澤さんの椅子は、その足代わりにもなる車いす。そこから降り(離れ)た姿、赤く塗られ(染まっ)た顔が痛ましく慟哭しているよう。「銀河鉄道の夜」のカムパネルラでもある。音楽は郷愁を思わせるもので余韻付け。

    柴田恵美さん率いる舞踏集団。ダンスという観(魅)せる演出の中に、「生命」を表したパフォーマンス。横一列に9椅子を配し、ダンサーが椅子に座り、転び落ち、床を転げる。その繰り返しをしつつ少しずつ変形していく。横並びは人間というか命の平等性を感じる。同時に一人ひとりのダンス・タイミングは異なり個性を強調。プリエの表現ーー後ろを向いたまま椅子に手を付き、床をストンプする力強い足音は、(コロナ禍)生きていく を表現しているようだ。また後・横(転がる)・前を向いた姿は、過去・現在(苦悩等)・未来を観る。和太鼓の音楽もマッチしており印象的だ。

    宮沢賢治の小学生時代の成績は相当優秀だったらしい。本公演も当日パンフ(冊子)に成績表があり公演採点するようだが…。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/03/19 19:13

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