満足度★★★★★
チラリズム万歳
役者さんたちはみなさんは上手で、
決して会話できていない訳ではないのですが、
人物と人物との会話というよりも、
気の利いたテクストを読んでる感じで、
前半戦は、頭の方で、ほほう大した文章だわい、と感心し、
心の方では、でも笑えるようなハジケはないなあ、と退屈していました。
ただ、中盤の後半辺りに、ヒロインちゃんが言ったセリフ、
「私は殺していなかったかもしれない」
と言った時の、表情、
ホッとしたと言うか、それよりもテンション高めの、少し泣き出しそうな、「助かった」というよりは「救済」という言葉を使いたい、
ここ見せ場ですよお客さん!の表情にグッときてから、
俄然、話に入っていけた。
私も劇団をやっていて、奇しくも劇団名が、クロムモリブデンと同じ金属系で、しかもクロムモリブデンの方が固いよ金属として!、ということもあって、どんな劇団かも知らないまま悔しい思いをしていたのですが、今回初めて見てみて、芝居内容の方でも、嫉妬心を煽られました。
お話とは別に、芝居の見せ方にオリジナル感があるのはいいですね。
脳味噌が楽しい。
巨大ジオラマモンスターシーンは、演技とも歌ともダンスともつかない素敵シーンでしたが、
ベースはB級のテイストですから「結局力押しかよ!」という、ツッコミどころがあって、そこが可愛らしさく、ツボでした。
皮肉は知性の産物である。皮肉がない表現は、おおむね時間つぶしである。クロムモリブデンの芝居は皮肉が利いていた。私にはちょいと利きすぎていた。でもほの見える情の部分に、チラリズムの分だけ、胸がざわついた。そんな芝居でした。
裸なんてただの肌色だよ。
チラリズム万歳。