ピンポン、のような[07再演版] 公演情報 時間堂「ピンポン、のような[07再演版]」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    俳優の在り方を再考するきっかけになる破格芝居
    若い役者さんが舞台で起こる自分の感情のままに生きていました。ささいだけれどリアルな心の揺らぎが、役者さんの身体から溢れんばかりに放射され、まるで頭から水を浴びせかけられたように直接的に届いてきました。笑ったり泣いたり怒ったりする姿に圧倒的な存在感があり、どうしようもなく引き込まれます。

    特に大事件が起こるわけではない、たわいない日常を暖かい視点から描いたお芝居だと思います。ストーリーには若干強引なところがあると思いました。でも、その無理強いさえもがいとおしく見える、穏やかで、しなやかな空間でした。

    舞台上での役者さんの自然な状態を生み出したのは、俳優指導の観点からの演出の力だと思います。1800円は格安です。

    ネタバレBOX

    温泉旅館の地下にある元・遊戯室が舞台です。卓球台で実際にピンポンをしますので、何が起こるかわからない状態があらかじめ用意されているんですね。そこで生まれる感情はおのずとリアルなものになりますから、それは俳優を誘導する雄弁な装置であると同時に自信の表れだとも受け取れます。


    可愛らしい浴衣姿の若い女の子が本音をぶつけ合い、みっともないほど気持ちをさらしていくのはスリリングでちょっと萌えます(笑)。セリフを話さずに脇にいる役者さんのリアクションも見どころで、特にノッポのこいけけいこさんから目が離せませんでした。


    筆が進まなくなった女流作家(境宏子)に重点が置かれた脚本でした。人間を生き生きと描いた舞台でしたので、観劇後の印象はできれば群像劇のような後味になって欲しかったですね。作家と編集者、作家と旅館の女将との長い会話シーンが終盤に続いたためかもしれません。いっそのこといっぱい削って1時間にしちゃうのもアリじゃないかと思いました。


    「シネマプライスシアター」というアイデアが、ひとつのジャンルになり得るのではないかと思えました。1800円の舞台にしては装置が豪華で上演時間も1時間30分あり、いわゆる今の普通の小劇場のお芝居と同じような規模でした。会社帰りのデートに小さなカフェやギャラリーで小1時間ぐらい楽しむとか、そういうスタイルにも合う作風だと思います。役者さんが居るだけで魅せられるのだから、装置やテクニカルな演出を控えめにして、もっと身軽になってもいいのではないかと思いました。そして細く長くロングランしていただきたいです。


    ちゃんとした美術・大道具があったために、細かいところが気にかかってしまいました。プロセニアム(額縁舞台)だったことも影響してると思います。たとえば、全員違う浴衣を着ていましたが、備え付けの浴衣ってたぶん旅館のロゴマーク入りで、男も女も同じ柄になるのではないでしょうか。帯もきっちり結んでいましたが、現実にはヨレヨレにしか結べない女の子もいるんじゃないのかな。それで何度も浴衣を直すとか、そういう仕草も生まれて欲しかったです。

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    2007/04/27 11:18

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